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引延ばし
「引延ばし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引延ばしの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
カと文三が掴《つか》ませられるままに掴んで、あえだり揉《もん》だり円めたり、また
引延ばしたりして骨を折て事実《もの》にしてしまい、今目前にその事が出来《しゅった....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
を加え、雲の金色の輪廓は、冷たい灰色に換ります。そして朝から晩まで、一重に物懶く
引延ばした雲の彼方から僅かに余光を洩す太陽の下に、まるで陰翳と云うものの無い万物....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ありました。 そこで、米友は、また先生のために、夜具の片端を坐りながらちょっと
引延ばして、なるべくその足の方の部分が露出しないようにと気を配ってやりながら、今....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
というのだそうであるが、聞いていてもなかなかそうは聞きとれないほどにゆっくり音を
引延ばして揺曳させて唱う。そしてその声が実際幽咽するとでもいうのか、どこか奥深い....
「ラジオ雑感」より 著者:寺田寅彦
んはちゃんと心得ていてさっそく水道栓へアースを引っぱって、アンテナを天井の廻りに
引延ばして、ともかくも音だけは旧通りに聞こえるようにした。そうして鼻を高くして帰....
「審判」より 著者:カフカフランツ
このみんなと同じように、ひとりでいい気になって見栄坊なもんですから、絵では寸法を
引延ばして描かせたのだわ。でもあたしも見栄坊だから、あなたのお気に召さないってい....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
といわなければなりません。しかるに、多数を頼んで、懲罰委員会においてはその審議を
引延ばし、取消せば事は済むというがごとき印象を与えておるのであります。 政治家....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
月《みつき》になるわネエ。」 わたくしの耳にはこの「三月になるわネエ。」と少し
引延ばしたネエの声が何やら遠いむかしを思返すとでも云うように無限の情《じょう》を....