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引張
「引張〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引張の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしの」より 著者:芥川竜之介
いるばかりである。
「よろしい。見て上げましょう。」
神父は顋鬚《あごひげ》を
引張りながら、考え深そうに頷《うなず》いて見せた。女は霊魂《れいこん》の助かりを....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
梁に圧《お》されながら、悶え苦しんで居ったのでございます。
私は妻の手を執って
引張りました。妻の肩を押して起そうとしました。が、圧《お》しにかかった梁は、虫の....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
る間に、また気が変ったから今度は須田町で乗換えて、丸善へ行った。行って見ると狆を
引張った妙な異人の女が、ジェコブの小説はないかと云って、探している。その女の顔を....
「母」より 著者:芥川竜之介
お》の上に、いつか涙を光らせている。しかし男は当惑そうに、短い口髭《くちひげ》を
引張ったきり、何ともその事は云わなかった。
「あなた。」
息苦しい沈黙の続いた....
「百合」より 著者:芥川竜之介
きじゃあ。」
金三は良平の、耳朶《みみたぶ》を掴《つか》んだ。が、まだ仕合せと
引張らない内に、怖い顔をした惣吉の母は楽々《らくらく》とその手を※ 《も》ぎ離し....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
旬ある日、新蔵はあの界隈《かいわい》に呉服屋を出している、商業学校時代の友だちを
引張り出して、一しょに与兵衛鮨《よべえずし》へ行ったのだそうですが、そこで一杯や....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
た。真暗で妙なにおいだけが鼻につく営倉の中で落付けるわけがない。翌日の夜練兵場に
引張り出されたときはもうだめかと思った。しかし係官が住所、姓名を聞いただけで、ま....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
なるものは、徒らに宗派的論争の用具と化し、古経典は、空しく各自の気に入った武器を
引張り出す為めの、兵器庫の観を呈して了った。 兎に角そうした手続で出来上った所....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
高く響くと疲れ果てた彼れの馬さえが耳を立てなおした。彼れはこの店先きに自分の馬を
引張って来る時の事を思った。妻は吸い取られるように暖かそうな火の色に見惚《みと》....
「星座」より 著者:有島武郎
よ」
新井田氏は蛇の皮のように上光りのする綿入の上《うわ》ん前を右手できりりと
引張りつけながら奥さんの今まで坐っていたところにきちんと坐った。そして煙管筒を大....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
ような憎みきったような声で言って、動くまいとする僕をみんなで寄ってたかって二階に
引張って行こうとしました。僕は出来るだけ行くまいとしたけれどもとうとう力まかせに....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
んだ。室だけならまだ可いが、食事の時間になったらボーイを寄こしてとうとう食堂まで
引張り出された。あんなに不愉快な飯を食ったことはない。 B それは三等の切符を持....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
兵力が必要なくなるであろう。地上作戦の場合は無数の兵員を得るため国民皆兵で誰でも
引張り出したのであるが、今後の戦争では特にこれに適した少数の人々が義勇兵として採....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
さねた袂を揺ったが、気味悪そうに、胸をかわして密と払い、 「袂をつかまえたのに、
引張られて動けないじゃありませんか。」 「かさねがさね、成程、はあ、それから、」....
「活人形」より 著者:泉鏡花
したのなら、今頃は鎌倉中の評判になってるに違いありません。何をいおうと狂気にして
引張って参ります。血だらけのあの姿じゃ誰だって狂気ということを疑いません。旦那、....