引戸[語句情報] » 引戸

「引戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
ごちなそうに手を挙げて髪をいじっている間に彼れは思い切って半分ガラスになっている引戸を開けた。滑車がけたたましい音をたてて鉄の溝を滑《すべ》った。がたぴしする戸....
星座」より 著者:有島武郎
ていたくなかったので寝入ったことにしていようと思った。 思いやりもなく荒々しく引戸を開けて、ぴしゃりと締めきると、錠《じょう》をおろすらしい音がした。純次は必....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
来て待って居るから、行って逢いな、気の毒だあナ」 *「四つ手かごの略。戸はまれに引戸ものあれど多くは垂れなり。」 新「冗談云っちゃアいけない、伯父さんからかっ....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
早く電流を断つんだよ!」 学生風の男に云われて、由蔵は漸くあたふたと釜場へ通う引戸を押して奥の方へ姿を消した。 バタバタと板の間を走る足音。カタコトと桶の転....
夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
目的の家の前へ来たのだった。 わしは、連れを促して、裏手に廻った。 勝手元の引戸に、家の割には、たいへん頑丈で大きい錠前が、懸っていた。わしは、懐中を探って....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
夜は流石に呟くような低音で聞えていた。三号室の前まで来ると、電気のついた磨硝子の引戸へ大きな影をのめらして、ガラッと細目に引戸を開けた「怪我人」が、いぶかしげな....
寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
はふとあることを思い起して、思わずハッと立止った。それはあの、惨劇の部屋の窓が、引戸を開けられたままでいたことだった。考えるまでもなくこれは確かに可笑しい。この....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
子供たちと一緒になって、例の愛嬌たっぷりの駄々っ子のような調子で、日本風の硝子の引戸の窓に、洋風の窓枠を組み込んで開き窓に改めさせなどしたこともあったが、しかし....
怪星ガン」より 著者:海野十三
一行はでかけた。 司令艇の側壁の一部が、するすると動きだしたと思うと、それは引戸のように艇の外廓のなかにかくれ、あとに細長い楕円形の穴がぽっかりとあいた。 ....
海底都市」より 著者:海野十三
器用にうごかし、からんからんと輪をまわした。すると器械の壁が、計器の下のところで引戸のように横にうごくと、そこに人の入れるほどの穴があいた。 「本間君。その中へ....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
そういった春部の言葉が終るか終らないうちに、突然すぐ左の壁が動き出してすうっと引戸のように横手に入ってしまった。そしてその向こうに廊下がひらけ、そして階上へつ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
切棒駕籠である。切棒は実際においては三人で舁き、一人は手代りで休む。いずれも戸は引戸である。垂駕籠は上から畳表に窓があいてるような物を垂らしてあるので、これは二....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
四 御先供は赤川大膳、先箱二つを前に立て、九人の徒士、黒積毛の一本道具、引戸腰黒の輿物に乗り、袋入の傘、曳馬を引き、堂々として押し出した。後から白木の唐....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
喧嘩のまん中へ邪魔な物を投げ出されて、町奴の群れも少し躊躇していると、乗物の引戸はするりと明いて、五十を越えたらしい裲襠姿の老女があらわれた。陸尺の直す草履....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
州|柏原の定めであった。 「ハテ、不思議や」 梨地金蒔絵、鋲打の女乗物。駕籠の引戸開けて風を通しながらの高田殿は、又してもここで呟かれた。 それは、大田切を....