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「引手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
《うしろ》の障子に、影法師が一つ映らなかったなら、そうして、その影法師が、障子の引手《ひきて》へ手をかけると共に消えて、その代りに、早水藤左衛門の逞しい姿が、座....
高野聖」より 著者:泉鏡花
やごう》を呼立《よびた》てる、中にも烈《はげ》しいのは、素早《すばや》く手荷物を引手繰《ひったく》って、へい難有《ありがと》う様《さま》で、を喰《くら》わす、頭....
婦系図」より 著者:泉鏡花
鵜縄に捌いて、娘たちに浮世の波を潜らせて、ここを先途と鮎を呑ませて、ぐッと手許へ引手繰っては、咽喉をギュウの、獲物を占め、一門一家の繁昌を企むような、ソンな勘作....
紅玉」より 著者:泉鏡花
を遣ったがよ、生命がけの仕事と思え。鳶なら油揚も攫おうが、人間の手に持ったままを引手繰る段は、お互に得手でない。首尾よく、かちりと銜えてな、スポンと中庭を抜けた....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
の言い値に買おうと思って、声を掛けようとしたが、隙がない。女が手を離すのと、笊を引手繰るのと一所で、古女房はすたすたと土間へ入って行く。 私は腕組をしてそこを....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
く、眼円に、鼻隆うして口の角なるが、頬肉豊に、あっぱれの人品なり。生びらの帷子に引手のごとき漆紋の着いたるに、白き襟をかさね、同一色の無地の袴、折目高に穿いたの....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
まい。もっとも若い内は遣ったかも知れんてな。ははは、」 人も無げに笑う手から、引手繰るように切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと生真面目。 成程....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
とく、次第びきに、ぐるぐるぐる。……幕へ衝と消える時は、何ものか居て、操りの糸を引手繰るように颯と隠れた。 筵舞台に残ったのは、青行燈と雪女。 悄れて、一人....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
思う。 続き、上下におよそ三四十枚、極彩色の絵看板、雲には銀砂子、襖に黄金箔、引手に朱の総を提げるまで手を籠めた……芝居がかりの五十三次。 岡崎の化猫が、白....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
にならない筈……」 と無雑作な中腰で、廊下に、斜に向合った。 「吉原の小浜屋(引手茶屋)が、焼出されたあと、仲之町をよして、浜町で鳥料理をはじめました。それさ....
縁結び」より 著者:泉鏡花
、現に、そこに、あなたとちょうど向い合せの処、」 正面の襖は暗くなった、破れた引手に、襖紙の裂けたのが、ばさりと動いた。お君は堅くなって真直に、そなたを見向い....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
勢平氏の後胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一|人、引手夥多の彼処を抜けて、目の寄る前途へ行き抜けもせず、立寄ってくれたので、国主に....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「いりやしねえよ。さあ、とうとう蟻を食っちゃった、見ねえ、おい。」 勇美子は引手繰られるように一膝出て、わずかに敷居に乗らないばかり。 「よう、おしまいなさ....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、これは洲崎に居た年増に貸してあったが、その婦人は、この夏、弁天町の中通に一軒|引手茶屋の売物があって、買ってもらい、商売をはじめたので空家になり、また貸札でも....
三枚続」より 著者:泉鏡花
れたんだとは気が着きませんや。 床屋風情にゃあ過ぎたものを借りやあがった、襖の引手|一個引剥しても、いっかど飲代が出来るなんと思って、薄ら寒い時分です、深川の....