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引払う
「引払う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引払うの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
横わっていた。
お島はそこらをがたぴし言わせて、着替などをしていた。根津の家を
引払う前に、田舎へ還してしまった父親の毎日々々飲みつづけた酒代の、したたか滞って....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ね申すこと。兄上こそここを何処だと思召《おぼしめ》す。我われ一同が遠からず京地を
引払うに就いては、上《かみ》の御用は申すに及ばず、銘々の支度やら何やかやで、きの....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
だん/\にあたゝかくなり、世間の景気も春めいて来たので、主人の家族もみんなこゝを
引払うことになって、久松もはじめて日本橋の店へ戻ってくると、土地が近いだけに憎い....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
彼女が奉仕の天使の如く突然高樹町の家に現われてから六月目に、主人夫婦は東京を
引払うて田舎に移った。如何に貧乏な書生生活でも、東京で二十円の借家から六畳|二室....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
敷でありました。 浪士たちが、半ば示威運動みたような勢いで、花々しくこの屋敷を
引払うと、その晩のことに、火が起って、この屋敷を焼き払ってしまいました。 その....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ては長くかの地で暮すようになるかも知れない。そこで相当の留守居をつけてこの屋敷を
引払うことになった。その留守番に、否応いわさず、自分が引受けさせて、熊の養育を托....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
百七十二
お角さん一行が、急に毛氈《もうせん》を巻いてこの場を
引払うと、南京バクチの一行が、つづいてまた盆蓙《ぼんござ》を引払って、一かたまり....
「四十八人目」より 著者:森田草平
しかも大石自身は、後を清くして立つためには何かと用事もあって、そうきゅうに京師を
引払うわけにも行かない。そこで同志の心を安んずるために、まず伜の主税に老巧間瀬久....
「光は影を」より 著者:岸田国士
としても彼の胸をかきむしる無言の叫びであつた。 さればこそ、彼は、大森の住いを
引払うにあたつて、妹多津の身のふり方を懸命に考え、雲井秋生との中途半端な関係をは....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
が、長々と、乱暴者をあずかってもろうて、忝《かたじけ》ない。都合にて、明日中に、
引払うことになったが、今後とも、よろしく頼む」
と、口早に云って
「斉彬公の帰....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
視廻しながら、三百は斯う呶鳴り続けた。彼は、「まあ/\、それでは十日の晩には屹度
引払うことにしますから」と、相手の呶鳴るのを抑える為め手を振って繰返すほかなかっ....