引止める[語句情報] » 引止める

「引止める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引止めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
は「挨拶もせずに帰って行ったりして」しまったのである。いや、それどころか、彼女の引止めるのも振り切って帰ってしまったのである。(何か腹の立つことがあったのだろう....
全体主義への吟味」より 著者:宮本百合子
い日本の民衆の、それに応じて高くあろう筈のない文化水準に適応してしまって、そこに引止める役割をもったとしたら、彼等の任務は果して進歩的であるといえるだろうか。 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が窮まるということを、わたくしのこの頭が、感得いたしました。ですけれども、それを引止める力がわたくしにございませんでした。世の中には、こうすればこうなるものだと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《ひきず》り、こっちへまっしぐらにやって来るのを、兵馬はやり過して簡単にその縄を引止めると、同時に犬は猛然として兵馬に飛びかかって来たけれど、それは、危害を加え....
生あらば」より 著者:豊島与志雄
運命が、あらゆるものが、何れかへ、転り出さんとしていた。一度動き出したらもう引止めることは出来そうになかった。凡てが険しい分岐点に立っていた。 夜が暗く、....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
、静かに。君は今が一番大事な時だ。」 啓介は其処に身を起そうとしていた。木下が引止める手を払って、厳然と頭を振った。断平たる決意の色が、不可抗の力が、その顔に....
変な男」より 著者:豊島与志雄
今井はぼんやり二人の顔を見比べていたが、ふいに上半身を起しかけた。辰代がそれを引止める間もなく、其処に手をついて頭を下げた。 「有難うございました。」 そし....
千代次の驚き」より 著者:豊島与志雄
ると、もう芸者も嫌だし、世の中も嫌だと、投げやりな気持になって、村尾さんをむりに引止める力もなくなりました。そして酔ったふりをして、半分はほんとに酔って、つっぷ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
策略は、共に同じ結果をしか得なかった。クリストフはもう飛び出していた。何物も彼を引止めることができなかった。そして彼があらかじめ言ったとおりに、作者も演奏者も皆....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
一身上の秘密を曝露するような事はしない。だからこんな事は、自分の子を失った母親を引止める障害となろうとは思えない。その外|継子、貰子、拾子等実子でない場合が数え....
日蔭の街」より 著者:松本泰
庭教師か、二人は軽く一|揖《ゆう》して廊下の外に姿を消してしまった。 柏は私の引止めるのもきかず、間もなく、そそくさと帰っていった。 柏に置去りを喰った私は....
遁走」より 著者:葛西善蔵
な気さえしたのだ。それでも、私の友人たちのただ一人として、私に同情して妻子たちを引止める方へ応援してくれた人がないのだ。誰も彼も、それが当然だ、と言うのだ。しか....
審判」より 著者:カフカフランツ
たてた。 「どうしたのか、私が行ってみましょう」と、Kは言い、ほかの連中に自分を引止める機会を与えるかのように、ゆっくりと出ていった。控えの間にはいり、暗闇の中....
すみだ川」より 著者:永井荷風
なに世の中は案じるより産《う》むが安いさ。」 お豊は何分よろしくと頼んでお滝が引止めるのを辞退してその家を出た。春の夕陽《ゆうひ》は赤々と吾妻橋《あずまばし》....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
んで、万事お世話を致しやしょう」 伊「己は帰る、己の足で己の宅へ帰るに何も無理に引止める訳は有るめえ」 正「お引止め申す訳では有りませんがあの通り花魁が泣いて入....