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引添う
「引添う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引添うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
好い、実体もので、身が定まってからも、こうした御機嫌うかがいに出る志。お主の娘に
引添うて、身を固めて行く態の、その円髷の大いのも、かかる折から頼もしい。 煙草....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
間の釦鈕を懸けつ。 「さようなら参ります。」 とつかつかと書斎を出でぬ。叔母は
引添うごとくにして、その左側に従いつつ、歩みながら口早に、 「可いかい、先刻謂っ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
沿岸の蒙蒼たる広原の夜気の中へ、のそりと歩き出した黒い人影がある。と、その後ろに
引添うようにして、もう一つの黒い小さい人影が現われました。
一体にこの辺は、柳....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さころも》に草鞋穿《わらじば》きの坊さんが杖をついて、さっさと歩んで来る。それに
引添うて、一匹の真黒い逞《たくま》しい犬が威勢よく走って来るのを見かけました。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
振返っても見ません。 しかしながら、どうも見たような駕籠である。竜之助は駕籠に
引添うて走りはじめました。まもなく駕籠は或る家の軒下へ立ちました。そこは、ちょっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の眼が明らかにあいて、以前、東海道を上って行った時の旅のすがたで、女を守る駕籠に
引添うて河原の宿、小名路の花屋まで来たが、現実はそれと反対に女に誘われて、駕籠に....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
しょう。何だか気草臥れでもしたようで、頭も脚もふらふらします。」 歩を移すのに
引添うて、身体で庇うがごとくにしつつ、 「ほんとに驚いたんですか。そういえば、顔....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ではあったが、うしろつきに、欣七郎がそう云った。 そう言った笑顔に。――自分が
引添うているようで、現在、朝湯の前でも乳のほてり、胸のときめきを幹でおさえて、手....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
しにその乗物を喧嘩のまん中に卸すと、袴の股立ちを掻い取った二人の若党がその左右に
引添うて立った。「しばらく、しばらく」と、若党どもは叫んだ。必死の勝負の最中でも....
「多神教」より 著者:泉鏡花
の呪詛の届く験を見せよう。(静に階を下りてお沢に居寄り)ずっとお立ち――私の袖に
引添うて、(巫女に)姥、弓をお持ちか。 巫女 おお、これに。(梓の弓を取り出す。....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
おくみ『ほんにたまさか逢瀬の一夜。その上なにか胸騒ぎがしてすこしでも長くあなたに
引添うて、離れとうもござりませぬ』 源兵衛『わしとても同じ想いだ。然しお上人さま....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
と、村人も、往来も、いつまたたく間か、どッと溜った。 謹三の袖に、ああ、娘が、
引添う。…… あわれ、渠の胸には、清水がそのまま、血になって湧いて、涙を絞って....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
て、少しよろけながら廊下をすたすたと其方へ行く。後から竹永が続いたので、看護婦も
引添うた。 遠山も丹平も心はおなじ、室の外から、蔭ながら、別を惜もうとしたので....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
、早口にいってまた四辺を※した。 「一体どんなものでございます。」とお杉は少年に
引添うて、渠を庇うようにして言う。 「私も更めちゃ見なかった、いいえ、実は見よう....
「黄灯」より 著者:田中貢太郎
俺達の用も済んだから、いっしょに帰ろう」 書生が往きかけるので、主翁もすぐ後に
引添うて往った。池の側や林の中に書生の姿が見えた。主翁はただ書生に遅れまいと思っ....