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「引留める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引留めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
願います、明日はまた早く上りますからといって帰ろうとすると、家中《うちじゅう》で引留める。民子のお母さんはもうたまらなそうな風で、 「政夫さん、あなたにそうして....
新生」より 著者:島崎藤村
た。 九十六 眼前にある平和な光景は寧《むし》ろ岸本の心を引留めることばかりであった。二人の子供は最早すっかり今の生活に慣れて、父と共に楽....
食魔」より 著者:岡本かの子
急ぎ蛍雪館はじめ三四の有力な家にも小使い取りの職仕を紹介してこの方面でも鼈四郎を引留める錨を結びつけた。伯母は蛍雪館が下町に在った時分姉娘のお千代を塾で引受けて....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
えから……へえ往って参りました」 母「余り長えじゃアねえか」 清「長えって先方で引留めるだ、まア一盃飲んで往けと云って、どうか船の利かないところを、お前の馬に積....
」より 著者:島崎藤村
宜しいじゃ御座いませんか……もっと御緩なすったら奈何で御座います……」 と客を引留めるように言ったが、曾根は汽車の時間が来たからと断って、出た。三吉はお雪に言....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は、そんなに絵が好きではありません。この絵師の描いている画題そのものも、人の足を引留めるほどの奇抜なものでもなんでもないから、絵草紙屋の店頭《みせさき》をも素通....
連環記」より 著者:幸田露伴
く国府を後にして都へ出てしまった。 勿論官職位階は皆辞して終った。疑い訝る者、引留める者も有ったには相違無い、一族|朋友に非難する者も有ったには相違無い。が、....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
葉が散っても、そのまま直ぐに、すらすらと行方も知れず流れよう、それをしばらくでも引留めるのは、ただちっとも早く幕を開ける外はない、と松崎の目にも見て取られた。 ....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
居たら好いじゃないか。」と、私は、斯うしている内に何うか出来るであろうと思って、引留めるように言った。けれども女は、それには答えないで、 「……私また吉村が可哀....
運命のままに」より 著者:豊島与志雄
さなければ、何時までも二人で気兼ねのない散歩を続けたかも知れない。然し私は彼女を引留める術を知らなかったのである。そして私はお小遣いを少しあげようかと云ったけれ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
なかった。頭に引きずられて前のめりになった。転倒する間ぎわになってようやく自分を引留めることができた。突然雷に打たれて倒れかけてると思っていた。もう死んでしまっ....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
に、また其の他の者が逃出そうと致しますから、飛鳥の如く彼方へ駈け此方に戻って一々引留める文治が手練の早業に、さしも死者狂の罪人も一歩も進むことが出来ませぬ。隙さ....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
く聞ゆ。) 高田 (立ちかかる。)相変らずお邪魔をしました。 李中行 (あわてて引留めるように。)まあ、もう少し話して行ってください。お前さんが帰ってしまうと、....
審判」より 著者:カフカフランツ
ループを飛び越してゆくと、突然、二つの全然見なれない眼が彼のほうに向ってき、彼を引留める。そこでビュルストナー嬢を見つけ出せないのだが、次にどんなあやまちをもす....
はつ恋」より 著者:神西清
とも。一旦わたしが、その人のところへ行って、一緒になろうと思ったら最後、わたしを引留めるほどの力は、この世のどこにもありはしない。そこでわたしは、あの人と一緒に....