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引窓
「引窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
掃除器』で上げ下げした。家は屋根裏部屋(マンサルド)のある四階建であった。屋根の
引窓はきわめて固く釘《くぎ》づけにされ、――幾年も開かれなかったように見えた。争....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あいだの一件に驚かされている彼女はぞっとしたが、それも怖い物見たさの好奇心から、
引窓の引き綱を解いてそろそろと明けた。その途端になにを見たか、彼女はきゃっと云っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
具が押し込んであったが、棚の下には一人の女がころげていた。女は二十五六の年増で、
引窓の綱らしい古い麻縄で手足を厳重に縛《くく》られて、口には古手拭を固く捻じ込ま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に、女房もはっとして鶏肌になった。猫が屋根を渡り切って、その白い影がおまきの家の
引窓のなかに隠れたのを見とどけると、彼女は娘の手を強く握って転げるように自分の家....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ちょんちょんと、雀あるきに扉を抜けて台所へ入って、お竈の前を廻るかと思うと、上の
引窓へパッと飛ぶ。 「些と自分でもお働き、虫を取るんだよ。」 何も、肯分けるの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こで酒をのむ者はあるめえ。このあいだの奴らがここに集まっていたに相違ねえ。まあ、
引窓をあけてみろ」 松吉に
引窓をあけさせて、その明かりで半七は部屋じゅうを見ま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
へ、」 と裾を捌くと、何と思ったか空を望み、破風から出そうにきりりと手繰って、
引窓をカタリと閉めた。 「あれ、奥様。」 「お前、そのお盆なんぞ、早くよ。」と釣....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
少いものは初から恐ろしがって寄つきませぬで――年役に出かけては、雨戸を明けたり、
引窓を繰ったり、日も入れ、風も通したなれど、この間のその、のう、嘉吉が気が違いま....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
が脱げないなら、内で脱げ、引剥ぐと、な、帯も何も取られた上、台所で突伏せられて、
引窓をわざと開けた、寒いお月様のさす影で、恥かしいなあ、柄杓で水を立続けて乳へも....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
下、大溝通りを折込んだ細路地の裏長屋、棟割で四軒だちの尖端で……崖うらの畝々坂が
引窓から雪頽れ込みそうな掘立一室。何にも無い、畳の摺剥けたのがじめじめと、蒸れ湿....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
は、誠に早やもっての外でござりますが、自慢にも何にもなりません、生得大の臆病で、
引窓がぱたりといっても箒が仆れても怖な喫驚。 それに何と、いかに秋風が立って、....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
たので、水にも濡れなかったのです。そこで、私はハンモックからおりると、まず天井の
引窓を開けて空気を入れ替えました。 私の箱は今にもバラ/\になるかもしれないの....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
になって、ちらりと蒼く消えようとする。 はっと袖で囲ってお縫は屋根裏を仰ぐと、
引窓が開いていたので、煤で真黒な壁へ二条引いた白い縄を、ぐいと手繰ると、かたり。....
「妾宅」より 著者:永井荷風
年増盛《としまざか》りが、まめまめしく台所に働いている姿は勝手口の破れた水障子、
引窓の綱、七輪《しちりん》、水瓶《みずがめ》、竈《かまど》、その傍《そば》の煤《....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
気色を悪しくし、台所に出て釜の下を焚きつくれば思うごとく燃えざる薪も腹立たしく、
引窓の滑りよく明かぬも今さらのように焦れったく、ああ何となく厭な日と思うも心から....