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引締める
「引締める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引締めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
睨んでいた犯人の気持は誰しも想像出来るであろう。そこへ何も知らない老爺が、鼻緒を
引締めるために、力を入れながら前屈みになる。テカテカ頭を電燈の下にニューと突き出....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ぽっかり新しく泛んだ。 「あっ、一郎」 かの女は危く叫びそうになって、屹と心を
引締めると、身体の中で全神経が酢を浴びたような気持がした。次に咽喉の辺から下頬が....
「樹蔭雑記」より 著者:宮本百合子
ない賞讚にあって、少し頭に血が上ったのを知ると情けない。 小さい誹謗に、口元を
引締めるのを知ると寂しい。 あらゆるそういう動機によって、創作のモーティブが不....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、冬の暁の雪のように、人の骨身を刺すこともございましょうけれど、それは人の精神を
引締めるもので、人の心を亡ぼすためではありません。愛というものは、そんなに痛快な....
「雀が森の怪異」より 著者:田中貢太郎
時として匂って来る石油に対する厭わしさと、漠としている記憶をノートの文字によって
引締める意識以外に自己も時の観念もなかった。そうして狭く小さくなった彼の意識の中....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
してもまた一段と頓狂な空想が、浮んで来ずにはおられなかったので、それを静かに観て
引締める者がなかったのが、すなわち談林一流の花火のような結末であったろうと私は思....