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引返
「引返〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引返の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運」より 著者:芥川竜之介
な目に遭《あ》うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ
引返そうと致しますと、誰だか、皮匣《かわご》の後《うしろ》から、しわがれた声で呼....
「早春」より 著者:芥川竜之介
はため息を洩《も》らしながら、爬虫類《はちゅうるい》の標本室《ひょうほんしつ》へ
引返した。が、三重子はどこにも見えない。彼は何か気軽になり、目の前の大蜥蜴《おお....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
と思うほど、どろどろと雷が鳴ったそうです。泰さんはこれを切っかけに、一足店の外へ
引返しながら、「じゃちょいと阿母《おかあ》さんにそう云って下さい。私がまた見てお....
「竜」より 著者:芥川竜之介
赤鼻をさも不思議そうに鳴らして見せて、それからのそのそ興福寺《こうふくじ》の方へ
引返して参りました。
「すると興福寺の南大門《なんだいもん》の前で、思いがけなく....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ら大井を追窮した。
「国府津《こうづ》まで。」
「それから?」
「それからすぐに
引返した。」
「どうして?」
「どうしてったって、――いずれ然るべき事情があって....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
少し気味悪くも思いました。けれども折角《せっかく》そこまで来ていながら、そのまま
引返《ひきかえ》すのはどうしてもいやでした。で、妹に帽子を脱《ぬ》がせて、それを....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
に腰のあたりまで埋まった。
仁右衛門は一旦|戸外《そと》に出てから待てといって
引返して来た。荷物を背負ったままで、彼れは藁繩の片っ方の端を囲炉裡にくべ、もう一....
「活人形」より 著者:泉鏡花
は門口まで追懸け出で、前途を見渡し独言、「素早い、野郎だ。取遁がした、残念々々と
引返せば、得右衛門は興覚顔にて、「つい混雑に紛れまして、まだ御挨拶も申しません。....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ます事ゆえ念のために、私お伺いに出ました儀で、直ぐにという御意にござりましたで、
引返して、御案内。ええ、唯今の女が、廊下をお連れ申したでござります。 女が、貴....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
京……いやに、ひったり俯向いた…… 幌の中で、どしばたして、弦光が、「辻町か、
引返して飲もう」という時、先生の俥がちょっとあと戻りして、「矢野は酔ってる、もう....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
一旦外へ出たが、出ると、すぐ、横の崖か巌を滴る、ひたひたと清水の音に、用心のため
引返して、駅員に訊いたのであった。 「その辺に旅籠屋はありましょうか。」 「はあ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
かい、」 ともの優しく念を入れて、 「私は小児の時だったから、唾をつけて、こう
引返すと、台なしに汚すと云って厭がったっけ。死んだ阿母が大事にしていた、絵も、歌....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、手を拡げてぼうとなる。 「どうしたの。」 「可訝しいぜ。」 と急に威勢よく
引返して、 「あれが、今のが、その、河野ッてえのの母親かね、静岡だって、故郷あ、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ともに、ぶらりと下る仕掛けである。 「可厭な、あいかわらずね……」 お桂さんが
引返そうとした時、歩手前の店のは、白張の暖簾のような汚れた天蓋から、捌髪の垂れ下....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
力は弱いもののためだ。生命に掛けて取返す。――鎧を寄越せ。 侍女二人|衝と出で、
引返して、二人して、一領の鎧を捧げ、背後より颯と肩に投掛く。 公子、上へ引いて、....