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引釣
「引釣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引釣の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
に、さっさと髷《まげ》に取揚げられた内儀さんの頭髪《あたま》は、地《じ》が所々|
引釣《ひきつ》るようで、痛くて為方《しかた》がなかった。
十九
お島は或時....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
「斯んな顔だって腫物だから癒《なお》れば元の通りになるから」
豐「癒ればあとが
引釣《ひっつり》になると思ってね」
新「そんなに気を揉《も》んではいけない、少....
「芽生」より 著者:島崎藤村
でも保《も》つまいと言われた。前の日まで、お房が顔の半面は痙攣《けいれん》の為に
引釣《ひきつ》ったように成っていたが、それも元のままに復《かえ》り、口元も平素《....
「巡査辞職」より 著者:夢野久作
……」 草川巡査は答えなかった。鶴木検事の顔を正視してビクビクと咽喉《のど》を
引釣らせていたが、そのままドッカリと椅子に腰を卸《おろ》すと、応接机の上に突伏し....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
ても、な、埒明かん。閉めれば、その跡から開けるで、やいの。) 聞くと、筋も身を
引釣った、私は。日暮に谷中の坂で聞いた、と同じじゃないか。もっとも、年寄りは誰某....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
ひっそりと、無限の空虚を運んで来るように感じた。 ルスタムの、老いた顔は、急に
引釣った。膝頭がまるで力を失った。 彼は蹌踉《よろよろ》と! 馬の脇に靠れかか....
「斜坑」より 著者:夢野久作
あった。 左右を見廻すと近くに居た連中は皆、八方へ飛退いた姿勢のまま真青な顔を
引釣らして福太郎の顔を見上げていたが、中には二三人、顔や手足に血飛沫を浴びている....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
しゃ沢山だ……」 老伯爵はポロリポロリと涙を流し始めた。頬の肉をヒクリヒクリと
引釣らせながら、哀願するように女将の顔を見上げた。 「いや、わしが悪かった。わし....
「老巡査」より 著者:夢野久作
大枚のお金を受取る心苦しさを云おうとして云い得なかった彼は、顔の筋肉をヒクヒクと
引釣らせながら、涙をダラダラと流して男爵の顔を見上げた。そうしてトウトウお礼の言....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
さ粟津の湯へ、七日湯治をしねえ事には半月十日寝られねえで、身体中|掻毟って、目が
引釣り上る若旦那でね。おまけに、それが小春さんに、金子も、店も田地までも打込んで....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ははん。」 スポンと栓を抜く、件の咳を一つすると、これと同時に、鼻が尖り、眉が
引釣り、額の皺が縊れるかと凹むや、眼が光る。……歯が鳴り、舌が滑に赤くなって、滔....
「四十八人目」より 著者:森田草平
まった。 「いや、そうでない、そうでない!」と、小平太はさも苦しそうに顔面神経を
引釣らせながら、ようよう口を切った。「この前来た時、お前に未練があって死にきれな....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
」 「あいさ、斬口あ?」 「鈍刀《どす》だ、腕もねえ――さ、口中だ。歯並び、舌の
引釣り、勢《せい》があるぞ。」 「若えな。」 「うん。二十二三――四五、とは出め....
「切支丹転び」より 著者:田中貢太郎
かり残っている少年の顔もあった。僧侶らしい顔もあった。皆の顔は苦痛のために、眼は
引釣り、口は歪み、唇や頬には血が附いていた。そこからは嵐のような呻吟と叫喚が漏れ....