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弛
「弛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
すから二人はお島婆さんの家の前を隣の荒物屋の方へ通りぬけると、今までの心の緊張が
弛《ゆる》んだと云う以外にも、折角の当てが外《はず》れたと云う落胆まで背負わずに....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
池《いけ》の汀《みぎわ》に、生死も分かず仆《たお》れたる婦人あり。四|肢《し》を
弛《ゆる》めて地《つち》に領伏《ひれふ》し、身動きもせでしばらく横たわりたりしが....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
》げて持ち、霞《かすみ》も絡《まと》わぬ姿になった。
馬は背《せな》、腹の皮を
弛《ゆる》めて汗もしとどに流れんばかり、突張《つッぱ》った脚もなよなよとして身震....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
覚悟か。」 「いえ、坂田の畜生、根もない事を、」 「馬鹿!」 と叱して、調子を
弛めて、 「も休み休み言え。失礼な、他人の壁訴訟を聞いて、根も無い事を疑うような....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
ら、国民皆兵の制度が乱れて傭兵に堕落する。その時から漢民族の国家生活としての力が
弛緩しております。今日まで、その状況がずっと継続しましたが、今次日支事変の中華民....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
の。先祖以来、田螺を突つくに練えた口も、さて、がっくりと参ったわ。お庇で舌の根が
弛んだ。癪だがよ、振放して素飛ばいたまでの事だ。な、それが源で、人間が何をしょう....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
にかかる取着の角にあった。私は靴だ。宿の貸下駄で出て来たが、あお桐の二本歯で緒が
弛んで、がたくり、がたくりと歩行きにくい。此店で草履を見着けたから入ったが、小児....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
床几のはずれに、竹柱に留まって前刻から――胸をはだけた、手織|縞の汚れた単衣に、
弛んだ帯、煮染めたような手拭をわがねた首から、頸へかけて、耳を蔽うまで髪の伸びた....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
日前、激しく雨水の落とした後の、汀が崩れて、草の根のまだ白い泥土の欠目から、楔の
弛んだ、洪水の引いた天井裏見るような、横木と橋板との暗い中を見たが何もおらぬ。…....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
匠……」 と言った。 薄手のお太鼓だけれども、今時珍らしい黒繻子豆絞りの帯が
弛んで、一枚小袖もずるりとした、はだかった胸もとを、きちりと紫の結目で、西行法師....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
見ると同じ、支膝の七分身。紅、緋でない、水紅より淡い肉色の縮緬が、片端とけざまに
弛んで胸へふっさりと巻いた、背負上の不思議な色気がまだ目に消えない。 ――原稿....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
高。 薩摩下駄の小倉の緒、太いしっかりしたおやゆびで、蝮を拵えねばならぬほど、
弛いばかりか、歪んだのは、水に対して石の上に、これを台にしていたのであった。 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
だ、と高を括って図々しや。 「ええ、そっちを引張んねえ。」 「下へ、下へ、」 「
弛めて、潜らせやい。」 「巻付けろ。」 遊軍に控えたのまで手を添えて、搦め倒そ....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
どうにかなってるようで、すっと立ち切れないで踞った、裙が足にくるまって、帯が少し
弛んで、胸があいて、うつむいたまま天窓がすわった。ものがぼんやり見える。 見え....
「活人形」より 著者:泉鏡花
さるな。請合ってきっと助けてあげます。と真実|面に顕るれば、病人は張詰めたる気も
弛みて、がっくりと弱り行きしが、頻に袂を指さすにぞ、泰助は耳に口、「何です、え、....