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弥が上に
「弥が上に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弥が上にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「象牙の牌」より 著者:渡辺温
三千円で、ずいぶん廉いとは思ったが、売り払ってしまいました――郁少年の無慙な死に
弥が上にも憂欝になっていた僕は、殆ど毎日終日|船室《ケビン》の中に引きこもってい....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
|硝子を張った様に光って居る。やがて麓に来た。見上ぐれば、蝦夷松椴松|峯へ峰へと
弥が上に立ち重なって、日の目も漏れぬ。此辺はもう関牧場の西端になっていて、林は直....
「能とは何か」より 著者:夢野久作
、気合い揃った動きは、気分的に厳粛な背景を作って、演舞者の所作があらわす気分を、
弥が上にも引っ立てて行く。観客の観賞心理を深め、陶酔気分を高めて、純乎たる芸術の....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
現を作っております。その表現はそのチョッピリとした鼻の背景として、そうした気分を
弥が上にも引っ立てているかのように見えます。「おかめ」の一名をお多福というのは、....
「キチガイ地獄」より 著者:夢野久作
て、見る見るうちに同家万代の基礎を築き初めましたので、谷山一家の私に対する信頼は
弥が上にも高まるばかり……そういう私も時折りは、吾れながらの幸福感に陶酔しいしい....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
分けて、さびしく石楠花が咲くのであった。 奥の道は、いよいよ深きにつけて、空は
弥が上に曇った。けれども、志す平泉に着いた時は、幸いに雨はなかった。 そのかわ....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
をさえ罵って、自家の気を吐き、まだ雛※である右膳を激動せしめた。右膳は真赤な顔を
弥が上に赤くした。 「ウ、ほざいたナ臙脂屋。小気味のよいことをぬかし居る。其儀な....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
この類似は、彼女の衣服の飾りつけと、その色合いの選択とによって、ベアトリーチェが
弥が上にも空想的気分を高めたからであった。 灌木に近づくと、彼女はあたかも熱烈....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
かった。人生に対する観察はいよいよ手馴らされ、皮肉になり、それと共に彼の好奇心は
弥が上にも昂進して行った。 鶴見はこの頃になって、泡鳴をバルザックに比較して考....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
ンと王宮のような壮麗さと到れり尽せりのサアヴィスと、加うるに処女航海というのが、
弥が上にも船客一同をお祭気分に煽り立てて知るも識らぬも忽ち一大家族のように、歓談....
「土から手が」より 著者:牧逸馬
に現務中の赤十字看護婦だという意外な展開は、公衆《パブリック》の関心を倍加させ、
弥が上にセンセイションを唆るに充分だった。報道価値《ニュース・ヴァリウ》百パセン....
「おせん」より 著者:邦枝完二
きめきと売出した調子もよく、やがて二|代目菊之丞を継いでからは上上吉の評判記は、
弥が上にも人気を煽ったのであろう。「王子路考」の名は、押しも押されもしない、当代....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
りました。それがためにも双ヶ岡までも訪ねました。その心づくしが却って仇となって、
弥が上にも父上のお心を狂わせて、罪に罪を重ねさせまするは、なんぼう忍ばれぬ儀でご....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
た。秋の十月に諸国に地震があり、故郷の駿河も相当ひどかったということは彼の帰心を
弥が上にもそそったのであった。 彼は一先ず師匠の寺の松蔭寺へ落着いた。師匠の単....
「『唯研ニュース』」より 著者:戸坂潤
期待して止まないのである。 「非常時」時局の折柄、わが唯物論研究会の研究活動は、
弥が上にも意義の重大性を加えつつある。今日程「唯物論」が理解されず、今日程「唯物....