弥縫[語句情報] »
弥縫
「弥縫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弥縫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
努力であるように思われた。彼はなるべく事なかれ主義を取って頼長と忠通とのあいだを
弥縫《びほう》するか、もしそれが出来そうもないと見きわめた暁《あかつき》にはそっ....
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
埒なるは、神殿、拝殿等、訓令の制限に合わぬ点を杉丸太で継ぎ足し、亜鉛葺き等一時|
弥縫《びほう》をなし、いずれ改造する見込みなり、当分御看過を乞う等で、そのまま放....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
起した醜さ悲惨さを意識し得る強さをも持っているのだ。そしてその弱さを強さによって
弥縫しようとするのだ。 強者がその強味を知らず、弱味を知らない間に、偽善者はよ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
うぶんに足をふんばり背たけを伸ばして歩けないのが常だ。心をまげ精神を傷つけ一時を
弥縫した窮策は、ついに道徳上の罪悪を犯すにいたった。偽りをもって始まったことは、....
「家」より 著者:島崎藤村
キッと見て、「私が兜町へ入る頃から、塩瀬というものは実は駄目だったんです。外部を
弥縫していましたから、店に使われる者すら知らなかった。幹部へ入ってみて、それが解....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
む叔母の性質を知れる千々岩は、打ち明けて頼めば到底らちの明かざるを看破り、一時を
弥縫せんと、ここに私印偽造の罪を犯して武男の連印を贋り、高利の三千円を借り得て、....
「惜別」より 著者:太宰治
されずとでもいうような自信を装って敗北を糊塗し、ひたすら老大国の表面の体裁のみを
弥縫するに急がしく、西洋文明の本質たる科学を正視し究明する勇気無く、学生には相も....
「平塚・山川・山田三女史に答う」より 著者:与謝野晶子
現在の経済関係という禍の大本に斧鉞を下そうとしない点においては両者とも「不徹底な
弥縫策」であるといって女史自ら一段高い地歩を占めたと思われるらしい立場から非難さ....
「細木香以」より 著者:森鴎外
町の名主田中平四郎がこれを知って、密に竜池に告げた。竜池は急に諸役人に金を餽って
弥縫し、妾に暇を遣し、別宅を売り、遊所通を止めた。内山町の盲人|百島勾当の家を遊....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
万事そのつもりで見て見ぬふりをするように……というような苦しい耳うちで下役の前を
弥縫《びほう》した忠相も、自分に先んじて風来坊泰軒を高くふんだ茶碗屋おつるの無識....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
どる婦人が暗愚無智なれば家は常に紊乱《びんらん》して家を成さず、幸に其主人が之を
弥縫《びほう》して大破裂に及ばざることあるも、主人早世などの大不幸に遭うときは、....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
ぬゆえ、町人より献金させよ、人がないゆえ、島津斉彬を、異国方に取立てよ、と、己を
弥縫《びほう》するに急であって、政道を布く暇さえござりませぬ。近頃、天下に、密々....
「赤い壺」より 著者:種田山頭火
斯くして彼は彼の周囲から永久に別れてしまったのである。 強者は破壊する、弱者は
弥縫する。強者は創造する、弱者は模倣する。 すべてに失望した人――生きていても....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
もなければ殊にネパールは道理の分って居る文明的の国であるから、偽りをいうて一時を
弥縫するということはむろん出来ない。チベットのようにどこからも入ることの出来ない....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
。終には御自身の股の肉を割愛して、餓え求むる者に与え去らしめたというが如き、姑息
弥縫の解決手段の外に、この悲しむべき利害の大衝突を、永遠に調和せしむる策を見出し....