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弥蔵
「弥蔵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弥蔵の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
縞物《しまもの》の素袷《すあわせ》の片褄《かたづま》をぐっと、引き上げて、左手を
弥蔵《やぞう》にした、苦みばしった若者が現れた。
「おい、浪人さん――その刀は、....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
に祖先に対するの敬虔を有し、尻切袢纏の帯しめなおして窮屈そうに霊前にかしこまり、
弥蔵を極めこむ両手を鯱張って膝の上におき、坊さんのお勤がすむまでは胡座にもならで....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ますうち、百家の流派を研精し、一派を編み出し竹林派と申す。嫡男新三郎水没し、次男
弥蔵|出藍の誉れあり、江州佐和山石田三成に仕え、乱後身を避け高野山に登り、後吉野....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
る。 「馬鹿にしやがれ。へッ、」 と唐突に毒を吐いたは、立睡りで居た頬被りで、
弥蔵の肱を、ぐいぐいと懐中から、八ツ当りに突掛けながら、 「人、面白くもねえ、貴....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かけかえ、小鳥籠を前にしてぼんやりと、火にあたっているところへ、村田寛一が、胸に
弥蔵《やぞう》をこしらえながら、ブラリとはいって来ました。
「どうしたエ」
「今....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
口笛を吹くでもなく、右の指の節を唇に当て、素肌に着た絹セルの単衣の衣紋を緩げ――
弥蔵という奴――内懐に落した手に、何か持って一心に瞻めながら、悠々と歩を移す。小....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
仙之助は、着流しのうしろへ脇差だけを申しわけにちょいと横ちょに突き差して肩さきに
弥蔵《やぞう》を立てていようという人物。それに本所きっての悪御家人旗本が十人ばか....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ら瓢箪を提げるというような変梃な扮装をして田舎の達磨茶屋を遊び廻ったり、印袢纏に
弥蔵をきめ込んで職人の仲間へ入って見たり、そうかと思うと洋服に高帽子で居酒屋に飛....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
あり。その一人《ひとり》は頬冠りの結目《むすびめ》を締め直しつつ他の一人は懐中に
弥蔵《やぞう》をきめつつ廓をさしておのづと歩みも急《せわ》し気《げ》なる、その向....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
してみやがれ! わたしだって。 お米はこう覚悟をして、その瞳をそらさなかった。
弥蔵をこしらえていた手をつン出して、紐の宅助は、ニヤリと面相を変えながら、 「エ....