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弦月
「弦月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弦月の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ビルディング」より 著者:夢野久作
が全然、暗黒を封じている。 その黒い、巨大な、四角い暗黒の一角に、黄色い、細い
弦月が引っかかって、ジリ、ジリ、と沈みかかっている時刻である。 私はその暗黒の....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
みたことを言った。 外へ出ると、大分風が出ていた。 雲間からヌッと顔を出した
弦月の光に、高く盛りあがった濤頭が、夜目にも白々と映った。 僚艦も稍難航の体で....
「フランドン農学校の豚」より 著者:宮沢賢治
諸君、その晩空はよく晴れて、金牛宮もきらめき出し、二十四日の銀の角、つめたく光る
弦月《げんげつ》が、青じろい水銀のひかりを、そこらの雲にそそぎかけ、そのつめたい....
「札幌まで」より 著者:寺田寅彦
の灯をちりばめた山腹の街の眺めがだんだんに変りながら遠くなって行く。天の一方には
弦月が雲間から寒い光を投げて直下の海面に一抹の真珠光を漾わしていた。 青森から....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
「いい晩ですね。」 「ああ。」 その時秀男は父の頬に深い沈思の表情を読んだ。
弦月の光りに美化され深化されている悩ましい影を。 「笹尾が帰る時、香奠のしるしと....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
もない。 二本|帆柱の大船で、南洋船と和船とを折衷したような型である。 鋭い
弦月が現われて、一本の帆柱へ懸かった頃、すなわち夜も明方の事、副将|来島十平太は....
「日本橋附近」より 著者:田山花袋
客を集めていたことを想い起す。菓物なども沢山に屋台の上に並べてあって、あの西瓜の
弦月形に切ったやつを通りかかりの小僧が上からかぶりつくようにして食っていたことを....