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弦音
「弦音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弦音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
中の巌窟に独居して、狩猟に日を送っていた。彼は蹶張を得意とし、熊や虎や豹が、その
弦音に応じて斃れた。蹶張というのは片足で弓を踏ん張って射るのである。その鏃をあら....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
へ飛び込んだ。 と、弓を持った一人の武士が、立ち止って谷を覗き込んだ。ピーンと
弦音がしたかと思うと、谷底から悲鳴が聞こえて来た。 何んの動揺も来なかった。 ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
水之介が手にせる重籐、キリキリとまた音もなく引き絞られたかと思われるや、ヒュウと
弦音高く切って放たれたかと見るまに的は五寸、当りは黒星――。 「お見事!」 冴....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
(シタ)を娶《めと》ったところを、父王より呼び還され政務を譲らる。一日弓を彎いた
弦音《つるおと》以てのほか響いて側《かたわら》にあった姙婦を驚かせ流産せしめ、そ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
と、忽ち法螺貝が鳴り渡った。 射手が十人ズラリと並ぶ。 ヒューッ、ヒューッと
弦音高く的を目掛けて切って放す。弦返りの音も冴えかえり、当たった時には赤旗が揚が....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
甲斐なし」 と我と我が心に愧じて、焚火の辺にてほッと息を吐く折しもあれ、怪しや
弦音高く一枝の征矢は羽呻りをなして、文治が顔のあたりを掠めて、向うの立木に刺さり....
「日置流系図」より 著者:国枝史郎
揺れギーという寂しい音を立てて内側へ自然と開いたのであった。 静寂を破る
弦音 「や、門が開きましたな」 「これはこれは不用心至極」 三人の者は事の意外....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
野雄である。 驚き周章た大勢の声が、ひとしきり背後で聞こえたかと思うと、すぐに
弦音が高く響いた。 丹生川平の郷民達が、茅野雄を射って取ろうとして、半弓を数人....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
た弓、千に一つの失敗もあるまいと、供の一同声を殺し、矢先に百の眼を集めたとたん、
弦音高く切ってはなした。その矢はまさに誤たず大鵬の横腹に当ったが、こはそもいかに....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
が、築山の方から聞こえてきた。 「参るぞーッ」という声であった。 途端に烈しい
弦音がした。 「うん!」 気合だ! 気合をかけて、若武士は持っていた鉄扇で、空....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
町の手前、さむさ橋の際へ来た時、はたして後に、御家新の姿が見えた。と、闇黒の奥で
弦音《つるおと》、とたんに矢風、藤吉とっさに泥に寝た。間一髪、矢は傍の小石を散ら....
「三国志」より 著者:吉川英治
っと迫り、于禁は軍勢の中にもまれながら、弓をつがえて、馬超を遠くから狙っていた。
弦音とともに、馬超は馬の背に屈みこんだので、矢はぴゅんと、それていった。 皮肉....
「三国志」より 著者:吉川英治
、汝の肉を啖わずにはおかんぞ」 云った途端である。 厳顔の引きしぼった強弓の
弦音が朝の大気をゆすぶって、ぴゅっと、一矢を送ってきた。張飛が、 「あっ」 と....
「三国志」より 著者:吉川英治
しばらく息をこめて、空をにらんでいるうちに、一列の雁行が真上にかかるや、関興は、
弦音たかく一|矢を放った。 一羽の雁は、矢うなりと共に、その矢を負って、ひらー....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
もなく、もンどり打っていたものかもしれなかった。 ぴゅん―― と、あきらかな
弦音が、ややおくれて聞え、すぐ三の矢、四の矢の矢光りが、彼の姿を呑んだ灌木帯を目....