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弱者
「弱者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弱者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
ゴシックの彫刻らしかった。僕はこの女の前に坐り、未《いま》だに刑務所全体に対する
弱者の反感を感じていた。
僕のやっと呼び出されたのはかれこれ六時になりかかって....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
しさを誇っている若者なども交《まじ》っていた。彼等は彼の失敗のために、世間一般の
弱者のごとく、始めて彼に幾分の親しみを持つ事が出来たのであった。が、彼等も一瞬の....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
恵にも浴していない。
*
強者は道徳を蹂躙《じゅうりん》するであろう。
弱者は又道徳に愛撫《あいぶ》されるであろう。道徳の迫害を受けるものは常に強弱の中....
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子はかっとなって、理が非でも弱いものを勝たしてやりたかった。今の場合木村は単に
弱者であるばかりでなく、その境遇もみじめなほどたよりない苦しいものである事は存分....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
と思え」 「なりませぬか」 「ならぬ、ならぬ。お身たちが恋を語るには兼輔などの柔
弱者《にゅうじゃくもの》がよい相手じゃ」 言い捨てて立ち去ろうとする頼長のゆく....
「奴隷根性論」より 著者:大杉栄
い。飽くことを知らない暴慢と残虐とが蔓こる。 かくして社会の中間にあるものは、
弱者を虐遇することに馴れると同時に、また強者に対しては自ら奴隷の役目を演ずること....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
早晩掃出さるべき運命を持ってるものである。其都市の劣敗者――というのが悪るければ
弱者――が毎日電車に乗って市の重大なる財源の供給者となっている。 ▲交通の便利....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
にお前をひっぱり出し、そして友人の妻君というのを本当に殺させたかったのだ。精神薄
弱者たるお前に、再度おなじ夢を見たと思わせ、前回のとおりの射撃をやらせたのだ。そ....
「病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
息づまるようななやましさをして桜は私の春の至るところに待ちうけます。こんな神経衰
弱者の強迫観念や憂鬱感は桜にとって唯迷惑でありましょう。しかしそれらは却って私が....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
真弓は重ねていった。「世の太平になれて、武道の詮議もおろそかになる。追従軽薄の惰
弱者が武家にも町人にも多い。それは私とても浅ましいことに思うています。さりとて侍....
「江戸の化物」より 著者:岡本綺堂
つとして数えていました。 狐憑、これもなかなか多かったようですが、一種の神経衰
弱者だったのでしょう。この時代には「狐憑」もあれば、「狐使い」もありました。狐を....
「愛に就ての問題」より 著者:小川未明
供を叱ろうとも、それが為めに失敗する事はなかったであろう。 私はこの社会に於て
弱者に対して、若しくは貧窮者に対して、これを救うという場合に、単にそれを気の毒だ....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
校がこれに代り、もしくは社会が、児童を擁護しなければならぬのは当然のことです。幼
弱者虐待防止案といい、欠食児童救済事業といい、このあらわれに他ありません。これと....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
えない。しかも単に形式的防圧ではならぬ。時代の精神に見覚め全体主義のために如何に
弱者をいたわることの重大なるかを痛感する新鮮なる道義心に依らねばならぬ。東亜連盟....
「色盲検査表の話」より 著者:石原忍
を読む表もできるわけだし、また工夫をすれば健康者にはたやすく読めるが、色盲者や色
弱者には容易に読めないような表もできるわけだと思い機会があったら実行してみようと....