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「張り上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

張り上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
慎太郎は蒼《あお》い顔をしたまま、このいさかいを眺めていた。が、姉がこう泣き声を張り上げると、彼は黙って畳の上の花簪を掴《つか》むが早いか、びりびりその花びらを....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
ょっと顔を後へ向けて魯八の顔を見る。ちゃんと知ってて魯八は如何にも大ぎょうな声を張り上げる。 ――今日のおまんまに有り付けねえとはよく言ったね。お大名はエテ、....
単独行」より 著者:加藤文太郎
も吉田君は気持がよさそうにぐうぐうと鼾を立てながら眠っている。吉田君は終日僕を引張り上げるのに苦心をしたためひどく疲れているのに違いない。僕の方は靴のできが悪く....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
に身を※した、香具師の親方|猪右衛門であった。 ジロジロ室の中を覗いたが、声を張り上げると云ったものである。 「家財道具やお払い物、高く買います高く買います」....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ですねえ、と目を見張らせます。まあ出来上りを見て下さいと、笑ってお出です。やがて張り上げると、すっぺりして立派になるのでした。昔から何に依らず質素にと心懸けて、....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
て金作が跳ぶ、源次郎が跳ぶ、猫も杓子も跳んだ。長次郎が大手を拡げて一々油断なく引張り上げる。面白くなって私達も跳ぼうとする、金作が「旦那方に間違があっては済まな....
那珂川の鱸釣り」より 著者:佐藤垢石
原へ駆け上がってから、道糸を手繰り寄せ、手網は使わないで、遮二無二河原へ鱸を引っ張り上げるのである。まあ、夕方一刻にこの釣り方で大鱸の五本や六本を釣り上げるのは....
人間失格」より 著者:太宰治
、と言葉では嘆じながら、手で口を覆って笑っていました。自分は、あの雷の如き蛮声を張り上げる配属将校をさえ、実に容易に噴き出させる事が出来たのです。 もはや、自....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
いやに調子づいたドン・モラガスが、舞台では見られない活々さをもって独特の金切声を張り上げるのを聞いてみると、こうだ。 HOTEL・RITZ――マドリッド第一の....
」より 著者:豊島与志雄
か、とそんな気持で、彼は女学生の讃美歌合唱を頭の中に描きながら、ばかばかしく声を張り上げる。 そういう騒ぎが、或る晩突然中断された。 「おい、公爵令嬢、君は何....
夏の町」より 著者:永井荷風
「髪《あたま》へ触っちゃ厭《いや》だっていうのに。」と癇癪声《かんしゃくごえ》を張り上げるが口喧嘩にならぬ先に窓下を通る蜜豆屋《みつまめや》の呼び声に紛《まぎ》....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
聊《いささ》か頓着なく十把一《じっぱひ》とからげに握《にぎ》っては、上の方へ引っ張り上げる。髯もさぞかし難儀であろう、所有主たる主人すら時々は痛い事もある。がそ....
樹氷」より 著者:三好十郎
して…… 一同が拍手。小太鼓がすり打ち。それがピタリとやんで、いきなり胴間声を張り上げる。下手な黒田節。下手ながら、喜びに溢れた器量一杯の節廻しで。 「春の....
」より 著者:森鴎外
当が馬の麦をごまかして金を溜めようとしているのも知るまい。こういうときは声を一層張り上げる。婆あさんにも別当にも聞せようとするのである。女はこんな事も言う。借家....
鴻ノ巣女房」より 著者:矢田津世子
の姿が通りに見え出すと、女工たちは窓から乗り出したり手を振ったりしてキイキイ声を張り上げる。なかなかの人気だった。 この捨吉が、ぎんへはこっそりと並ならぬ優し....