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当て
「当て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
当ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
15
飾り窓の板硝子越しに造花を隔てた少年の上半身。少年は板硝子に手を
当てている。そのうちに息の当るせいか、顔だけぼんやりと曇ってしまう。
....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
中にいる人々の間を、あぶなそうに押しわけながら、どうにか風呂の隅《すみ》をさぐり
当てると、やっとそこへ皺《しわ》だらけな体を浸した。
湯加減は少し熱いくらいで....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
舞下《まいくだ》ろうと致しましたのと、下にいた摩利信乃法師が、十文字の護符を額に
当てながら、何やら鋭い声で叫びましたのとが、全く同時でございます。この拍子に瞬く....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
に彼自身の威厳を全《まっと》うした。五百部の印税も月給日までの小遣《こづか》いに
当てるのには十分である。
「ヤスケニシヨウカ」
保吉はこう呟《つぶや》いたまま....
「影」より 著者:芥川竜之介
片づいた後《のち》、陳《ちん》はふと何か思い出したように、卓上電話の受話器を耳へ
当てた。
「私《わたし》の家《うち》へかけてくれ給え。」
陳の唇を洩れる言葉は....
「河童」より 著者:芥川竜之介
金《はなめがね》をかけた河童が一匹、僕のそばへひざまずきながら、僕の胸へ聴診器を
当てていました。その河童は僕が目をあいたのを見ると、僕に「静かに」という手真似《....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
を見せつけられた、その寂しさに堪えなかったのであろうか。そうしてあの人の胸に顔を
当てる、熱に浮かされたような一瞬間にすべてを欺こうとしたのであろうか。さもなけれ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
沢山ですよ。婆やと私と二人ぎりですもの。」
お蓮は意地のきたない犬へ、残り物を
当てがうのに忙《いそが》しかった。
「そうなったら、おれも一しょにいるさ。」
「....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
使いながら、忘れられたように坐っていた。それが洋一の足音を聞くと、やはり耳掻きを
当てがったまま、始終|爛《ただ》れている眼を擡《もた》げた。
「今日《こんにち》....
「白」より 著者:芥川竜之介
出来ませんから、闇《やみ》の中を見通すことだの、かすかな匂《におい》を嗅《か》ぎ
当てることだの、犬の教えてくれる芸は一つも覚えることが出来ません。)
「どこの犬....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
て、相手の顔を透《す》かして見た。美しい顔、燦《きら》びやかな勾玉、それから口に
当てた斑竹《はんちく》の笛――相手はあの背《せい》の高い、風流な若者に違いなかっ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
界《きかい》が島《しま》の土人と云えば、鬼のように思う都人じゃ。して見ればこれも
当てにはならぬ。」
その時また一人御主人に、頭を下げた女がいました。これはちょ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
たら、明日とも言わず今夜の内に、早速この女の子を返すが好い」 遠藤は鍵穴に眼を
当てたまま、婆さんの答を待っていました。すると婆さんは驚きでもするかと思いの外、....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
雲のようにむらがって飛んでいる。金色の翼の啄木鳥は紅のとさかと、幅のひろい黒い喉
当てと、すばらしい羽毛をつけている。連雀は、翼の先が赤く、尾羽の先は黄色く、羽毛....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
だした。父親は足を棒のようにして息子の行方をさんざ探ねて廻った※句、ようやく探し
当てることが出来たのであるが、ジャンは、芸を仕込まれた牝山羊や軽業をする犬にとり....