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当る
「当る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
当るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
硝子越しに造花を隔てた少年の上半身。少年は板硝子に手を当てている。そのうちに息の
当るせいか、顔だけぼんやりと曇ってしまう。
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飾り....
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
》蟹《かに》の棲家《すみか》であろう、いくつも円《まる》い穴があって、そこへ波が
当る度に、たぶりと云うかすかな音が聞えた。が、女は未だに来ない。
尾生はやや待....
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
しかし僕等が席についてまだ五分とたたないうちに外国人が五六人ちょうど僕等の正面に
当る向う側のボックスへはいって来た。しかも彼等のまっ先に立ったのは紛《まぎ》れも....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
野はお鳥の嫉妬にもやはり興味を感じていた。お鳥の嫉妬それ自身は勿論、彼女が重吉に
当る気もちも甲野にははっきりとわかっていた。のみならず彼女はいつの間にか彼女自身....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
る事が出来なかったのだ。」と、問い詰《つめ》るのでございます。私はその事実に思い
当ると、必ずぎくりと致しました。ああ、何故私は妻を殺したなら殺したと云い放てなか....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
られて来たのだそうです。ですから茂作が重病になると、稲見には曽祖母《そうそぼ》に
当る、その切髪《きりがみ》の隠居の心配と云うものは、一通《ひととお》りや二通《ふ....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
しょう。
小町 いいえ、嘘ではありません。安倍の晴明の云うことは何でもちゃんと
当るのです。あなたこそ嘘をついているのでしょう。そら、返事に困っているではありま....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
社。」
僕は葉巻を銜《くわ》えたまま、舟ばたの外へ片手を下ろし、時々僕の指先に
当る湘江《しょうこう》の水勢を楽しんでいた。譚の言葉は僕の耳に唯《ただ》一つづり....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
ね。好《い》いかい? もし女を物体とすれば、男も勿論物体だろう。すると恋愛は熱に
当る訣《わけ》だね。今この男女を接触せしめると、恋愛の伝わるのも伝熱のように、よ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
おたけぐら》の竹藪《たけやぶ》である。本所七不思議《ほんじょななふしぎ》の一つに
当る狸《たぬき》の莫迦囃子《ばかばやし》と云うものはこの藪の中から聞えるらしい。....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
叭《らっぱ》や軍歌に皷舞されれば、何の為に戦うかも問わず、欣然《きんぜん》と敵に
当ることである。
この故に軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている。緋縅....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
たね子は夫《おっと》の先輩に
当るある実業家の令嬢の結婚|披露式《ひろうしき》の通知を貰った時、ちょうど勤め先....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
はこの部屋の隅の机に向かい、午前だけはちゃんと勉強します。午後はトタン屋根に日が
当るものですから、その烈しい火照《ほて》りだけでもとうてい本などは読めません。で....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
ことを一つ教えてやろう。今この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その頭に
当る所を夜中に掘って見るが好い。きっと車に一ぱいの黄金が埋まっている筈だから」 ....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
につき当りの風景は、忽ち両側へ分かれるように、ずんずん目の前へ展開して来る。顔に
当る薄暮の風、足の下に躍るトロッコの動揺、――良平は殆ど有頂天になった。 しか....