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「当体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

当体の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宣言一つ」より 著者:有島武郎
生活といい、実行といい、それは学者や思想家には全く欠けたものであって、問題解決の当体たる自分たちのみが持っているのだと気づきはじめた。自分たちの現在目前の生活そ....
文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
けを抽象して、これを死物として取扱えば文芸的にはなり兼ねるのであります。もっとも当体が情であるだけに、知意に比すると比較的抽象化しても物にならんとは限りませんが....
明暗」より 著者:夏目漱石
わずら》わしさ、もしくはそれから起り得る嫌疑《けんぎ》を避けようとするのが彼女の当体《とうたい》であったにしたところで、果物籃《くだものかご》の礼はそれを持って....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
有る甲斐のない塵芥に過ぎない。 私が私自身に帰ろうとして、外界を機縁にして私の当体を築き上げようとした試みは、空しい失敗に終らねばならなかった。 聡明にして....
風流仏」より 著者:幸田露伴
真心を凝し肝胆を砕きて三拝|一鑿九拝一刀、刻み出せし木像あり難や三十二|相円満の当体即仏、御利益疑なしと腥き和尚様語られしが、さりとは浅い詮索、優鈿大王とか饂飩....
範疇としての空間に就いて」より 著者:戸坂潤
かも知れないが、同一そのものを見又聴くことは出来ない。というのは吾々はこの概念に当体する存在を承認することが普通の意味に於ては不可能なのである。普通の意味に於て....
性格としての空間」より 著者:戸坂潤
彼等はコンヴェンションに従って――学問的考察に従ってでなく――最も信頼するに足る当体として自然を見出す。それが先験的自我によって構成された世界であるにしてもない....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
つ、証言に依ると犯人は岸田氏より小柄で細っそりしていたとあるが、病上りとは言え相当体格のある岸田氏に組付いて、格闘の揚句あっさり岸田氏を崖の下へ突墜して了ったと....
支部図書館三周年に寄せて」より 著者:中井正一
ればよいのであって、本と図書室という実体《サブスタンス》そのものは必ずしも、その当体がもっていなくてもよいのである。 この議論を最初に取りあげられたのは近藤康....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
。ここの仏をいい換えれば、本当にこの自分を形作り、この世に出した宇宙の根本生命の当体だというのであります。 自分の内部に起った懸命に自己を尋ねる一念と、その一....