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「当年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

当年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
時は互に名乗りもせず、それなり別れてしまいましたが、今わたしの見た弥三右衛門は、当年の船頭に違いないのです。わたしは奇遇《きぐう》に驚きながら、やはりこの老人の....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ンサンタマリヤさま》、私が天にも地にも、杖柱《つえはしら》と頼んで居りますのは、当年八歳の孫の茂作と、ここにつれて参りました姉のお栄ばかりでございます。お栄もま....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
天気ですな。」 谷村博士はこう云いながら、マロック革の巻煙草入れを出した。 「当年は梅雨《つゆ》が長いようです。」 「とかく雲行きが悪いんで弱りますな。天候も....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
理及英語の教師を致して居ります。妻ふさ子は、丁度四年以前に、私と結婚致しました。当年二十七歳になりますが、子供はまだ一人《ひとり》もございません。ここで私が特に....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
四角な、堅くなったか、癇のせいか、首のやや傾いだアドである。 「――某が屋敷に、当年はじめて、何とも知れぬくさびらが生えた――ひたもの取って捨つれども、夜の間に....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
え。へい、そしてどちらへお越しになるんで。」 「いささかこの辺へ用事があっての。当年たった一度、極暑の砌参ったばかり、一向に覚束ない。その節通りがかりに見ました....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
なる緋の袴の巫女を、いきなり、引立てて、袴を脱がせ、衣を剥いだ。……この巫女は、当年初に仕えたので、こうされるのが掟だと思って自由になったそうである。 宮奴が....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
たると毫も異なるところなし。小栗は幕末に生れたりといえども、その精神気魄純然たる当年の三河武士なり。徳川の存する限りは一日にてもその事うるところに忠ならんことを....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
下の鬼となるを甘んずるも 情は深くして豈意中の人を忘れん 玉蕭幸ひに同名字あつて当年未了の因を補ひ得たり 犬川荘助 忠胆義肝|匹儔稀なり 誰か知らん奴....
謡曲と画題」より 著者:上村松園
屋の何某にて候。我自訴の事あるにより在京仕りて候。かりそめの在京と存じ候へども、当年三歳になりて候。あまりに故郷の事心もとなく候程に、召使ひ候夕霧と申す女を下さ....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
京阪より山陽、南海、西国まで蔓延し、東は房、総、常、野、武、信の諸州にも伝播し、当年に至りては奥州に漸入するを見る。ひとり北陸地方に、いまだその流行するを聞かざ....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
て恭やしく控えてると、やがてチョコチョコと現われたは少くも口髯ぐらい生やしてる相当年配の紳士と思いの外なる極めて無邪気な紅顔の美少年で、「私が森です」と挨拶され....
四十年前」より 著者:内田魯庵
ー劇の花形役者として満都の若い血を沸かさしたもんだ。 先年侯井上が薨去した時、当年の弾劾者たる学堂法相の著書『経世偉勲』が再刊されたのは皮肉であった。『経世偉....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
灯台あり。これ、アフリカ州の最南端なり。実に名のごとく喜望の感あり。 欲髪、山是当年喜望峰。 (南|阿に入ってかつておとずれた地をたずねようと思えば、狂風を巻き....
寺町」より 著者:岩本素白
事に質素な其の時分でも、ちと破格過ぎることであった。その折の写真を見ると、流石に当年文壇の第一人者だけあって、銘旗を立てた葬列は長々と続いて居るが、柩はその上に....