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当座
「当座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
当座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
玄鶴の一生はこう云う彼には如何にも浅ましい一生だった。成程ゴム印の特許を受けた
当座は比較的彼の一生でも明るい時代には違いなかった。しかしそこにも儕輩《さいはい....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
二月《ふたつき》ばかり続いてからの事でございましたろう。ちょうど暑中休暇になった
当座で、ある夕方私が散歩かたがた、本願寺別院《ほんがんじべついん》の裏手にある本....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
その度に、医者から酒を禁じられるが、殊勝らしく、赤い顔をしずにいるのはほんのその
当座だけで、いつでも「一合位は」からだんだん枡数《ますかず》がふえて、半月とたた....
「河童」より 著者:芥川竜之介
をあいにく巡査につかまり、とうとう病院へ入れられたのです。僕はこの病院へはいった
当座も河童の国のことを想《おも》いつづけました。医者のチャックはどうしているでし....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
古写真には、寂しい支那服の女が一人、白犬と一しょに映っていた。
「この病院へ来た
当座は、誰が何と云った所が、決して支那服を脱がなかったもんだ。おまけにその犬が側....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
様思いだから、自然とそんな事がわかったのでしょう。」――僕の妻《さい》なぞはその
当座、こう云ってはあいつをひやかしたものだ。それからまた半月ばかりの後《のち》、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
それが何年か前に、母を失った時の悲しみと似ているような気もちだけがした。彼はその
当座《とうざ》どこへ行っても、当然そこにいるべき母のいない事を見せられると、必ず....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
日《にち》も明けない内に、突然|疫痢《えきり》で歿《な》くなった事です。女はその
当座昼も夜も気違いのように泣き続けました。いや、
当座ばかりじゃありません。それ以....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
えはしなかったと云わねばなるまい。――が、それはともかくも、おれはこの島へ渡った
当座、毎日|忌々《いまいま》しい思いをしていた。」
「それはさぞかし御難儀《ごな....
「運」より 著者:芥川竜之介
て》にふりました。さて形《かた》ばかりの盃事《さかずきごと》をすませると、まず、
当座の用にと云って、塔の奥から出して来てくれたのが綾《あや》を十|疋《ぴき》に絹....
「或る女」より 著者:有島武郎
を訪れるつもりだったが、それができなくなったから、この後とも定子をよろしく頼む。
当座の費用として金を少し送っておくという意味を簡単にしたためて、永田から送ってよ....
「或る女」より 著者:有島武郎
などを得意げに話して聞かせながら、自分で米をといだり、火をたきつけたりした。その
当座は葉子もそれを楽しいと思わないではなかった。しかししばらくのうちにそんな事を....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
れど、昔ばかりではないのだよ。現に、小母さんが覚えた、……ここへ一昨年越して来た
当座、――夏の、しらしらあけの事だ。――あの土塀の処に人だかりがあって、がやがや....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れで切り上げさせて戴きます。現在の私とて、まだまだ一|向駄眼でございますが、帰幽
当座の私などはまるで醜くい執着の凝塊、只今想い出しても顔が赭らんで了います……。....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
さて、こうして、おねえさまたちは、めいめいに、はじめて海の上へ浮かんで出てみた
当座こそ、まのあたりみた、めずらしいもの、うつくしいものに心をうばわれました。け....