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形象
「形象〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
形象の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
な情緒を覚えるばかりであった。けれども、それがこの一篇では、けっして白蟻の歯音を
形象化しているのではない。たしかに、一つの特異な色彩とは云えるけれども、しかし土....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
彼の心に及ぼした影響――灰色の壁と塔とそれらのものが見下ろしているうす暗い沼との
形象《フィジィク》が、とうとう彼の精神《モラル》にもたらした効果――に関して、あ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ものには音の如く意味がない。面もまた面そのものには色の如く意味がない。然しながら
形象の模倣再現から這入ったこの芸術は永くその伝統から遁れ出ることが出来ないで、そ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
て、最初からの経過を吟味してみても、だいたい乾板などという感光物質によって、標章
形象化される個所は勿論のことだが、それに投射し暗喩するような、連字符一つさえ見出....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
る。「踏み下げ」も分る。安坐も会得する。柔和忿怒の相から水火の形という風に諸々の
形象が含まれているのであるから、調法というはおかしいが、材料としてはまことに適当....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
。いま私はその謎を解き得るとは思わない。ただ私の心に照らし出される、貧しい想像の
形象を語るならば、私は恋は人間の原型を完成せんとする願いではあるまいかと思う。す....
「古狢」より 著者:泉鏡花
とかのようで、卵塔場の新墓に灯れていそうに見えるから、だと解く。――この、お町の
形象学は、どうも三世相の鼇頭にありそうで、承服しにくい。 それを、しかも松の枝....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
牙を噛む。 人間の霊はその迷妄世界をさまよって、形なきところに形を求める。その
形象は妄執に相応する動物として示されねばならない。暗黒の中の光明、苦悩を蝉脱する....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
て、そういう状態のなかに幸福を求めなくてはならないのだ。何年か前、この世界の示す
形象がはじめておれの眼の前に開け、夏の気もちよい暖かさを感じたころ、木の葉のさや....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
見た。この眼ではっきりと見てしまったのだ。自然そのままの汚れのない清純な女性の
形象をとってこの現世に存在している、いわばそれは若竹の精霊だ。微塵の悪徳もなく、....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
類を求め難いほど特異なものである。飛鳥白鳳や天平にもなかった精神内奥の陰影がその
形象の上に深く刻みつけられている。刀刃を以て木材を刻み彫り成すことに造型の心理的....
「想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
は世界の装飾にあるともいえる。美は外界にはない、人間の心の衷にある。それが外界の
形象をかりて表われると自然の美となりその表現が写実となる。それが外界の形をかりず....
「翻訳の生理・心理」より 著者:神西清
かも大切なことは、この自己転化という危険な誘惑に憑《つ》かれない限り、飜訳という
形象再生の仕事が到底成り立たないばかりか、飜訳者という生ける人間が第一成りたち得....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
(低き竈の火の上に、大いなる鍋掛けあり。その鍋より立ち升る蒸気の中に種々の
形象を現ず。尾長猿の牝鍋の傍に蹲り、鍋の中を掻き廻し、煮え越さぬやうにす。尾長猿....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
こちらに鋏を入れて切りこまざいていた不誠実に気附いて、今度は自分の幻影をあくまで
形象の上に捕えようと無限の奥所まで追及の歩を緩めないでゆくためには、無限に緊張し....