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「形骸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

形骸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
早春」より 著者:芥川竜之介
はくせい》の鳥は硝子越《ガラスご》しに彼を眺めている。三重子もこう言う鳥のように形骸《けいがい》だけを残したまま、魂《たましい》の美しさを失ってしまった。彼はは....
Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
彼はついに一箇の人格を持ちました。K君の魂はなお高く昇天してゆきます。そしてその形骸は影の彼に導かれつつ、機械人形のように海へ歩み入ったのではないでしょうか。次....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まも、一方に曲木家の御用屋敷を折り廻しているので、正月の十五日頃までは満足にその形骸を保っていたが、藪入りも過ぎた十七日には朝から寒さが俄かにゆるんだので、もう....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
もまた、社会のこの不言不語の強圧に対して柔順である。彼等の多数は愛のない所にその形骸だけを続ける。男性はこの習慣に依頼して自己の強権を保護され、女性はまたこの制....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
のように光っていた。そしてそれから生れ出たのが、万物の始源たる、男性、ブラーマの形骸を備えた至高の存在であった。彼がこの卵の中で神の年の一年間(人間の年で数える....
去年」より 著者:伊藤左千夫
でばかり動いている。そうしてどうかこうか生を寄するの地をつくっているものだ。ただ形骸なお存しているのに、精神早く死滅しているというようなことにはなりたくない。愚....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
へ運ばれて売られる野菜や果物同様、住む人間までも生気を都会へ吸い取られて、卑屈に形骸的にならされてしまうのですね」 規矩男は父を斯うも観察した。女の子が生れて....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
火事ならば寧ろ綺麗に灰にしてしまうかも知れない。 滅茶滅茶に叩き毀された無残の形骸をなまじいに留めているだけに痛々しい。無論、砲火に焼かれた場所もあるに相違な....
ランス紀行」より 著者:岡本綺堂
、大火事ならば寧ろ綺麗に灰にしてしまうかも知れない。滅茶苦茶に叩き毀された無残の形骸をなまじいに留めているだけに痛々しい。無論砲火に焼かれた場所もあるに相違ない....
余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
あつてはすべてにおいて持つてまわつた謎のような表現がとうとばれ、形式だけの儀礼の形骸が重視される。したがつて直情径行は嘲笑と侮蔑の対象でしかなくなる。 こうし....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
にその名の響を止めます。――あなたはそれに反して、大魔術者だったのです。あなたの形骸は無くなりました。だがあなたの面影はなおもそこここに残ってはいないでしょうか....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
病者となって、われ知らず飲み、喰い、踊る。客をそうして狂わせて置き乍ら、その狂う形骸に向って心からの親切、愛嬌、敬意を払って居るマネージャー始め食堂関係者等の慇....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
と云うけれども、誰も明白に其形を認め得た者は無かった。然るに今や白昼に其の怪しき形骸を晒したのである。白昼に幽霊が出たように、人々は驚異の眼を瞠って、何れも其の....
「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
柢の他に存するが為なるは、何人も了知の事と存じ候う。この根柢を除去せずして、単に形骸をのみ改め、以て同胞融和の実を挙げうべしとするは、所謂木に縁りて魚を求むる類....
融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
らぬのであります。しかもその歴史の根本を忘れて、単に差別のはなはだしかった時代の形骸のみに囚われているのであります。したがってよくその歴史の真相を明らかにして、....