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「彩る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

彩るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛がたり」より 著者:泉鏡花
や……花。…… かかる折から、柳、桜、緋桃の小路を、麗かな日に徐と通る、と霞を彩る日光の裡に、何処ともなく雛の影、人形の影が※う、…… 朧夜には裳の紅、袖の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が居たので、 「女形にお任せなさいまし。」 とすらりと立った丈高う、半面を颯と彩る、樺色の窓掛に、色彩|羅馬の女神のごとく、愛神の手を片手で曳いて、主税の肩と....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
しいものであった。 それらの商店のうちでも、絵草紙屋――これが最も東京の歳晩を彩るもので、東京に育った私たちに取っては生涯忘れ得ない思い出の一つである。絵草紙....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ラットフォームで、真黒に、うようよと多人数に取巻かれた中に、すっくと立って、山が彩る、目瞼の紅梅。黄金を溶す炎のごとき妙義山の錦葉に対して、ハッと燃え立つ緋の片....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、青や、紅や、そのまま転がったら、楽書の獅子になりそうで、牡丹をこってりと刷毛で彩る。緋も桃色に颯と流して、ぼかす手際が鮮彩です。それから鯉の滝登り。八橋一面の....
佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
中、道徳を諷するものなきにあらず、哲学を寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を彩るものは常に一脈の詩情なり。故に佐藤はその詩情を満足せしむる限り、乃木大将を崇....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
知るものならば、何が彼を唐突な行動に導くか、その行動の結果がどのように彼の生涯を彩るか、それについての推量はほぼつくことである。泡鳴には常に動いて止まぬ好奇心が....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、竜燈……といっては少し冥い。しかり、明星の天降って、梁を輝かしつつ、丹碧青藍相彩る、格子に、縁に、床に、高欄に、天井一部の荘厳を映すらしい。 見られよ、され....
式部小路」より 著者:泉鏡花
青柳の糸をそのまま、すらりと撫肩に、葉に綿入れた一枚小袖、帯に背負揚の紅は繻珍を彩る花ならん、しゃんと心なしのお太鼓結び。雪の襟脚、黒髪と水際立って、銀の平打の....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
と察せられる。いずれにしても歌舞伎双六は歳晩の絵双紙屋を飾り、あわせて歳晩の巷を彩る一種の景物で、芝居を愛する人も愛せざる人も、絵双紙屋の店さきに立って華やかな....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
た。何処を見ても物の色は佳い。暗く影の深い鎮守の森、白く日に光る渓川の水、それを彩るものは秋の色である。高くもあらぬ西山の頂きは、もはや冬で、秋はこの麓の一画に....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
もあった。 悲惨な終局――それはかならずわれわれの目に浮かんでくる性格と生活を彩るはずである。しかし終局というものは、出発において暗示されているのであり――生....
どこで笛吹く」より 著者:小川未明
ました。光治は、しばらくそこに立って、じいさんを見送っていますと、その姿は日影の彩るあちらの森の方に消えてしまったのでありました。 その日から光治は野に出て、....
北海の白鳥」より 著者:小川未明
その日から、白鳥は海の上を舞いはじめました。血よりも赤い、西の夕焼けが、波の面を彩るころには、空を飛ぶ白鳥は、遠い、故郷にあこがれるもののごとく鳴いたのです。そ....
空色の着物をきた子供」より 著者:小川未明
てに、その日は家へ帰りました。 あくる日から、日暮れ方になって夕焼けが西の空を彩るころになると、三郎は野の方へと憧れて、友だちの群れから離れてゆきました。ある....