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彫琢
「彫琢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
彫琢の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
さ》びたる七条《しちじょう》に、さして喰い違うほどの必要もあるまい。小説は自然を
彫琢《ちょうたく》する。自然その物は小説にはならぬ。 二個の世界は絶えざるがご....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
控《てびかえ》であるから、毫《ごう》も文章らしいところはない。字句を修飾したり、
彫琢《ちょうたく》したりした痕跡は薬にしたくも見当らぬ。しかしそれが非常に面白い....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
である。しかし決して不可視ではない。それどころか、たとえ小粒でも適当な形に加工|
彫琢《ちょうたく》したものは燦然《さんぜん》として遠くからでも「視《み》える」の....
「十一谷義三郎を語る」より 著者:豊島与志雄
ると、十一谷君の視野は時代的な広さをもち、小説形式は整備してき、表現技法は独特な
彫琢を加えてきたし、私の方は逆に、作品との距離を取失い、形式や技法を無視するよう....
「ルヴエルの『夜鳥』」より 著者:平林初之輔
は山から掘りだしたままの鉱石のなかにひらめく金塊の趣があるが、ルヴェルの作品には
彫琢の限りをつくした珠玉のような趣がある。コント作家としての技巧においては彼はポ....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
の口から洩れる時、いかに厭や味なく受けとれたことだろう。 杜甫《とほ》の詩は、
彫琢《ちょうたく》の鑿《のみ》のあとが覗えるけれども、一方には思い切って、背を向....
「周防石城山神籠石探検記」より 著者:喜田貞吉
えようと思う。 第一の穴は山の半腹のやや谷をなした所の石壁にある。石壁は十分に
彫琢を加えざる切石割石を煉瓦形に積み重ねて谷を横ぎり、その内部は全く土を以て谷を....
「文章を作る人々の根本用意」より 著者:小川未明
帯びるに至った際に初めて借りるべき一手法である。何等内部的の努力なしに、文章上の
彫琢をことゝするのは悪戯であるといってよい。 そこで、余はそういう人々に向って....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
いた。 髷にさしてあったさんらんたる美光の品も、それにゆかりのある、泰西名工の
彫琢、白金彫聖母マリヤの笄なのであった。生首の髷に挿されてある白金のマリヤの笄―....
「増長天王」より 著者:吉川英治
ばならなかった。たしかに、久米一は名陶工であったには相違ない。色鍋島の絢爛艶美な
彫琢と若々しい光彩の漲った名品が、この老いほうけた久米一の指から生れて、他の若い....