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「影法〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

影法の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
をかついだ、青ひげのさわやかな男が、横あいから、口を出した。 「おぬしこそ、また影法師なぞにおびえまいぞ。」 これと共に、二十三人の盗人どもは、ひとしく忍び笑....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
二人は、満足そうに、眼で笑い合った。――もしこの時、良雄の後《うしろ》の障子に、影法師が一つ映らなかったなら、そうして、その影法師が、障子の引手《ひきて》へ手を....
路上」より 著者:芥川竜之介
ッペルゲンゲル》とも見るべき人間だった。が、どちらが正体《しょうたい》でどちらが影法師《かげぼうし》だか、その辺の際どい消息になると、まだ俊助にははっきりと見定....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
床《とこ》の間《ま》も、ちがいだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの影法師《かげぼうし》が大きくそれに映《うつ》って、怪物《ばけもの》か何かのように....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の本当の意味を弁えていたといえようか。掴み得たと思うものが暫くするといつの間にか影法師に過ぎぬのを発見するのは苦い味だ。私は自分の心を沙漠の砂の中に眼だけを埋め....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、おばさん、日の暮方に、お酒の前。……ここから門のすぐ向うの茄子畠を見ていたら、影法師のような小さなお媼さんが、杖に縋ってどこからか出て来て、畑の真中へぼんやり....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ぎすな男の姿の、軒のその、うどんと紅で書いた看板の前に、横顔ながら俯向いて、ただ影法師のように彳むのがあった。 捻平はフト車の上から、頸の風呂敷包のまま振向い....
女客」より 著者:泉鏡花
ると、凄いような月で。 ああ、春の末でした。 あとについて来たものは、自分の影法師ばかりなんです。 自分の影を、死神と間違えるんだもの、御覧なさい、生きて....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
さえ、行燈に似て、しかもその白けた明に映る…… 表に、御泊りとかいた字の、その影法師のように、町幅の真ただ中とも思う処に、曳棄てたらしい荷車が一台、屋台を乗せ....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
そっと付いて来た人たちの心には、大きな落陽の真っ赤な夕映を背景にした、大男の黒い影法師がこびり付いて来る上に、暗い夜がだんだんに恐怖と共に迫って来るので、恐ろし....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
うになって面を背けた。斜ッかいの化粧部屋の入口を、敷居にかけて廊下へ半身。真黒な影法師のちぎれちぎれな襤褸を被て、茶色の毛のすくすくと蔽われかかる額のあたりに、....
活動写真」より 著者:淡島寒月
などの外国物専門の館へは、大概欠かさず見に行く。しかして回を追って、筋の上にも撮影法の上にも、あらゆる点において進歩しつつあるのを見るにつけて、活動写真も茲十年....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ないくらいで、焼あとには灰らしい灰も残らなかった。 貧乏寺の一間を借りて、墓の影法師のように日を送る。―― 十日ばかり前である。 渠が寝られぬ短夜に……疲....
活人形」より 著者:泉鏡花
めき落ちて、妖麗なる顔の洩れ出でぬ。瑠璃のごとき眼も動くようなりしが、怪しいかな影法師のごとき美人静々と室の中に歩み出でたり。この幻影譬えば月夜に水を這う煙に似....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
わゆる美文だった。「富士の峰白くかりがね池の面に下り、空仰げば月うるわしく、余が影法師黒し。」――これは僕の作文ではない、二、三年前に故人になった僕の小学時代の....