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彼の人
「彼の人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
彼の人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
男だった。が、豪傑肌の父親よりも昔の女流歌人だった母親に近い秀才だった。それは又
彼の人懐《ひとなつ》こい目や細っそりした顋《あご》にも明らかだった。重吉はこの茶....
「河童」より 著者:芥川竜之介
理に終始している。
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ボオドレエルは白痴になった後《のち》、
彼の人生観をたった一語に、――女陰の一語に表白した。しかし彼自身を語るものは必ず....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
かた》それを彼らしい謙譲な心もちの結果とでも、推測したのであろう。愈《いよいよ》
彼の人柄に敬服した。その敬服さ加減を披瀝《ひれき》するために、この朴直な肥後侍《....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
るので、忠通はすこし急《せ》いた。 「弟子を見ることは師に如《し》かずといえば、
彼の人となりはお身も大かた存じておろう。彼は才智に慢ずる癖がある。この上に学問さ....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
く今|天涯にのがれ出でた相良十吉であったが、風間真人の執念は未だにくつることなく
彼の人の上にかかっているようだ。二つの浮船の行手間近かに聳え立つは荒涼として死の....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
貞雄の頑迷な潔癖さには、妾はつくづく呆れてしまった。また一面に於ては、それだけ
彼の人物が気に入った。もう仕方ないので、キヨを立ち合わせることに同意した。 貞....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
腕で、真佐子に似た撩乱の金魚を一ぴきでも創り出して、凱歌を奏したい。これこそ今、
彼の人生に残っている唯一の希望だ、――彼が初め、いままでの世になかった美麗な金魚....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ら、この古都の風雅の社会は、彼の前に廻っては刺激と思い付を求めねばならなかった。
彼の人気は恢復した。三曲の演奏にアンコールを許したり、裸体彫像に生花を配したり、....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
加わるのであった。 早や暮れかかって、ちらちらと点れる、灯の数ほど、ばらばら誰
彼の人通り。 話声がふわふわと浮いて、大屋根から出た蝙蝠のように目前に幾つもち....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
。 お通に申残し参らせ候、御身と近藤重隆殿とは許婚に有之候 然るに御身は殊の外|
彼の人を忌嫌い候様子、拙者の眼に相見え候えば、女ながらも其由のいい聞け難くて、臨....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
である。 彼がロンドン大学予備科の教授に就任したのは、一八七〇年の暮で、爰でも
彼の人格と、学力とは、彼をして学生達の輿望の中心たらしめた。モーゼスが心霊上の諸....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
/″\に理解が行き届いている。が、菊池が兄貴らしい心もちを起させるのは、主として
彼の人間の出来上っている結果だろうと思う。ではその人間とはどんなものだと云うと、....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
もまず一人並の出家になり済ましたのでござります。」 生来鈍根と卑下しているが、
彼の人柄といい物の言い振りといい、決して愚かな人物とはみえない。しかも鎌倉の名刹....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
た。――ははあ搦手から出たかと思う、その提灯がほんのりと、半身の裾を映す……褄は
彼の人よりも若く、しっとりと、霧に蔦もみじした紅の、内端に細さよ。 雪代であっ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
えり。世人、釣り落せし。故に、釣具にも、術にも、十分の注意を要するなりと言えり。
彼の人又言えり。釣に適したる、一たび鈎を投ずるを惜むこと金の如く、投ずれば、必ず....