彼処[語句情報] »
彼処
「彼処〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
彼処の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
正義であろう。此処に太い棍棒《こんぼう》がある。これは社会主義者の正義であろう。
彼処に房のついた長剣がある。あれは国家主義者の正義であろう。わたしはそう云う武器....
「春昼」より 著者:泉鏡花
うしまして、邪魔も何もござりましねえ。はい、お前様、何か尋ねごとさっしゃるかね。
彼処の家は表門さ閉っておりませども、貸家ではねえが……」 その手拭を、裾と一緒....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
に入って、お嬉しいんでございましょう。 時に閃電す。光の裡を、衝と流れて、胡蝶の
彼処に流るる処、ほとんど天井を貫きたる高き天守の棟に通ずる階子。――侍女等、飛ぶ....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
兜のマッチを探り、枯草に火を点ず。 野火、炎々。絹地に三羽の烏あらわる。 凝視。
彼処に敵あるがごとく、腕を挙げて睥睨す。 画工 俺の画を見ろ。――待て、しかし、....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
向うを、墨染で一人|行く若僧の姿が、寂しく、しかも何となく貴く、正に、まさしく
彼処におわする……天女の御前へ、われらを導く、つつましく、謙譲なる、一個のお取次....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
靄が余所よりも判然と濃くかかったせいで、鶴谷が別宅のその黒門の一構。 三人は、
彼処をさして辿るのである。 ここに渠等が伝う岸は、一間ばかりの川幅であるが、鶴....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、舞台を覗く。 いつの間にか帰って来て、三人に床几を貸した古女房も交って立つ。
彼処に置捨てた屋台車が、主を追うて自ら軋るかと、響が地を畝って、轟々と雷の音。絵....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
…… どの道、巌の奥殿の扉を開くわけには行かないのだから、偏に観世音を念じて、
彼処の面影を偲べばよかろう。 爺さんは、とかく、手に取れそうな、峰の堂――絵馬....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
いぬ。 いつなりけむ、母上の給いたる梨の、核ばかりになりしを地に棄てしを見て、
彼処の継母眉を顰め、その重宝なるもの投ぐることかは、磨りおろして汁をこそ飲むべけ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一|人、引手夥多の
彼処を抜けて、目の寄る前途へ行き抜けもせず、立寄ってくれたので、国主に見出された....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
取れる。どうしたんだろう、おかしいな。」 二 とは思ったが、歴々
彼処に、何の異状なく彳んだのが見えるから、憂慮にも及ぶまい。念のために声を懸けて....
「多神教」より 著者:泉鏡花
トツツン、テントツツン、下方かすめて遥にきこゆ)……見えたか。 お沢 あれあれ、
彼処に――憎らしい。ああ、お姫様。 媛神 ちゃんとお狙い。 お沢 畜生!(切って....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
おなじくそなたを。……帰途の渠にはあたかも前途に当る。 「それ見えるでがさ。の、
彼処さ土手の上にござらっしゃる。」 錦の帯を解いた様な、媚めかしい草の上、雨の....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
が二株あって、海に寄ったのは亭々として雲を凌ぎ、町へ寄ったは拮蟠して、枝を低く、
彼処に湧出づる清水に翳す。…… そこに、青き苔の滑かなる、石囲の掘抜を噴出づる....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
合の花にも、松の木の振にも、何となく見覚えがある、確に座敷から眺めの処、師の君は
彼処にこそ。 お夏は身を忍ぶがごとく思いなしつつ。 鳳仙花の、草に雑って二並....