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「彿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

彿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
、少しも変りがない。それが昼間だのに、中へ蝋燭《ろうそく》らしい火をともして、彷彿と蒼空《あおぞら》へ現れた。その上不思議な事には、その竜燈が、どうも生きている....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
が、それにもかかわらず、あの「わが袖の記」の文章の中にはどこか樗牛という人間を彷彿《ほうふつ》させるものがあった。そうしてその人間は、迂余曲折《うよきょくせつ》....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
んは人間の眼に見えない物も、夕暗にまぎれる蝙蝠《こうもり》ほどは、朧げにしろ、彷彿《ほうふつ》と見えそうな気がしたからです。 が、東京の町で不思議なのは、銀座....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
筆者は本文へはいる前に、これだけの事を書いている。従ってもし読者が当時の状景を彷彿《ほうふつ》しようと思うなら、記録に残っている、これだけの箇条から、魚の鱗《う....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
気持の方が、かの女の先に立った。年頃に多少の違いはあろうが、むす子の中学時代を彷彿させる長い廂の制帽や、太いスボンの制服のいでたちだけでも、かの女の露っぽくふる....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
さえて舟に登った。大勢の人びとは岸にあつまって眺めていると、金の甲を着た神者が彷彿として遠い空中に立っているのを見た。道士は法を修して、やがてその鉄符をなげうつ....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
は刹那に消えるものと云いながら、その扮装の写真等によって舞台のおもかげを幾分か彷彿させることも出来るが、落語家に至ってはどうすることも出来ない。したがって、ここ....
「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
して、わたくしどもは、それが夢であるのか、現であるのか別ちのつかない場面に魂を彷彿とさせます。 沈麗高古な衣裳のうごき、ゆるやかな線の姿態の動き、こんな世界が....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
とすというような論鋒で、一々『国民新聞』所載の文章を引いては、この処筆者の風※彷彿として見はると畳掛けて、暗に私に諷てつけて散三に当り散らした。ところが、この文....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
機でない。かつ自ずから別に伝うる人があろう。本篇はただ僅かに故人の一生の輪廓を彷彿せしむるためのデッサンたるに過ぎないのである。下記は大正四年八月の旧稿を改竄補....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
も如何と、その夜は其のままにして再び寝台へ登ったが、彼の怖しい顔がまだ眼の前に彷彿いて、迚も寝られる筈がない、ただ怖い怖いと思いながら一刻千秋の思で其夜を明した....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
は決して見られないものを持っている。その点に、上古の天皇と氏上との対面の様子が彷彿するのである。この言立てには、大伴氏の「海ゆかばみづく屍、山ゆかば草むす屍」の....
童話を書く時の心」より 著者:小川未明
あるものとされているのであります。 何を措いても児童たちに、理想社会の全貌を彷彿させることが肝要であり、また芸術や、教育の任務でなければなりません。そして、児....
春風遍し」より 著者:小川未明
ない。空想には、時間も空間もないから、生々として、黒い瞳や、紅い唇が、眼の前に彷彿とするのであります。そればかりでなく、今も巷にさえ出かければ、どこかのレストラ....
俗臭」より 著者:織田作之助
に決めた。人間見切りが肝腎。―― ――が、今も、いやな事ながらその婆さんの顔が彷彿として浮んで来る。小柄で常に首をかしげている、それだけなら往々にして可憐に見え....