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往
「往〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
往の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
麗《きれい》に口髭《くちひげ》の手入れをした、都会人らしい紳士である。少年の顔に
往来する失望や当惑に満ちた表情。紳士は少年を残したまま、さっさと向うへ行ってしま....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
三匹の犬をつれて、葛城山《かつらぎやま》の麓にある、路が三叉《みつまた》になった
往来へ、笛を吹きながら来かかりますと、右と左と両方の路から、弓矢に身をかためた、....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
左の臂《ひじ》を挫《くじ》きながら、五人までも敵を投げた事があった。――そういう
往年の豪傑《ごうけつ》ぶりは、黒い背広《せびろ》に縞のズボンという、当世流行のな....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
《みょうにち》」は考えても「昨日《さくじつ》」は滅多《めった》に考えない。しかし
往来を歩いていたり、原稿用紙に向っていたり、電車に乗っていたりする間《あいだ》に....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
るのが合図《あいず》だったように、賢造は大きな洋傘《こうもり》を開くと、さっさと
往来へ歩き出した。その姿がちょいとの間、浅く泥を刷《は》いたアスファルトの上に、....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る》いを一つすると、ちょうど馬の嘶《いなな》きに似た、気味の悪い声を残しながら、
往来を罩《こ》めた黄塵《こうじん》の中へまっしぐらに走って行ってしまった。……
....
「運」より 著者:芥川竜之介
目のあらい簾《すだれ》が、入口にぶらさげてあるので、
往来の容子《ようす》は仕事場にいても、よく見えた。清水《きよみず》へ通う
往来は、....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
えた夜《よる》の九時ごろ、保吉《やすきち》は三人の友だちと、魚河岸《うおがし》の
往来を歩いていた。三人の友だちとは、俳人の露柴《ろさい》、洋画家の風中《ふうちゅ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
手に気がついて見ると、恵蓮はいつか窓際に行って、丁度明いていた硝子窓から、寂しい
往来を眺めているのです。 「何を見ているんだえ?」 恵蓮は愈色を失って、もう一....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
卒然飯田蛇笏と、――いや、もう昔の蛇笏ではない。今は飯田蛇笏君である。――手紙の
往復をするようになった。蛇笏君の書は予想したように如何にも俊爽の風を帯びている。....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
んで来た。特にむかし流行った枝模様のついた絹の服を著た母の姿が私の脳裡をしきりに
往ったり来たりした。と、私はある日母がその服を著て、「ロベエルや、よござんすか、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
々も道中の気遣いを故郷の恋しさと未来の大望とか悲しみ悦び憂いをかわるがわる胸中に
往来したれば、山川の景色も目にはとまらずしてその日の暮がたある宿に着きたり。宿に....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
信者で、商店の番頭をしておった人もある。後までも心易く交際しておった。アボットと
往復した手紙をして困るというような事も述べてある。ファラデーは随分と物忘れをして....
「寡婦」より 著者:秋田滋
して、館から森へ通じている広い楡の並木路を、たッたひとりでいつまでもいつまでも、
往ったり来たりして歩いているのです。私はよく部屋の窓から、この感傷的な少年が、両....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
里を指して歩きだした。 大都会に一歩あしを踏み入れると、彼等はその広いことと、
往来の人の多いことに、しばしは途方に暮れた。 しかし彼等はこういう人たちのなか....