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往き
「往き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
往きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
かしながら私にここに一つの希望がある。この世の中をズット通り過ぎて安らかに天国に
往き、私の予備学校を卒業して天国なる大学校にはいってしまったならば、それでたくさ....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
なに仕合せをしてる。 これでは話が横道へ這入《はい》った、それからおれが松尾へ
往きついてもまだ日が出なかった、松尾は県道筋について町めいてる処《ところ》へ樹木....
「地球盗難」より 著者:海野十三
舞い下ってきてやがて屋根とすれすれになるほど近づいた。そして怪飛行機は、邸の上を
往きつ戻りつして、一向に飛び去る模様がなかった。明かにこの博士邸が狙われている様....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
ても三分以上はもがかねばならない。やたらと力を使用してやっと孝ちゃんの後にくると
往きに登った急なところをおろされるのだ。小林は「ここは底が知れませんぜ」といわれ....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
れて落ちる。形ばかりの竹を縄搦げにした欄干もついた、それも膝までは高くないのが、
往き還り何時もぐらぐらと動く。橋杭ももう痩せて――潮入りの小川の、なだらかにのん....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
福草履ひたひたと地を刻んで、袴の裾を忙しそう。二人三人、世話人が、列の柵|摺れに
往きつ還りつ、時々顔を合わせて、二人|囁く、直ぐに別れてまた一人、別な世話人とち....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
ながら、堂の縁の三方を、そのうしろ向きのまま、するすると行き、よろよろと還って、
往きつ戻りつしている。その取乱した態の、あわただしい中にも、媚しさは、姿の見えか....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ずに調子を合わせる。中には若い媚めかしい声が交って、化粧した婦も居た。 境も、
往き還り奥の見晴しに通って、縁から峠に手を翳す、馴染の茶店があったのであるが、こ....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
陽と同じ道のりを、もっと少い時間でとんでいってしまいます。天体と天体とのあいだを
往きかいするのは、同じ町のなかで知っている同士が、いやもっと近く、ついお隣同士が....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
けのした日金山の空も、もう火照りが消えかかっていた。良平は、愈気が気でなかった。
往きと返りと変るせいか、景色の違うのも不安だった。すると今度は着物までも、汗の濡....
「橋の上」より 著者:犬田卯
は言った。例の握り太の茨のステッキ――彼はそれを学校の前の藪の中へ隠しておいて、
往きかえりに必ず携えていた――そいつで、圭太を嚇しつけた。 「こら、貴様、この頃....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
とおなじ年紀ごろの、ああ、それも夢のような――この日、午後四時頃のまだ日盛に――
往きにここで休んだ時――一足おくれて、金沢の城下の方から、女たち七人ばかりを、頭....
「迷信解」より 著者:井上円了
「今日は往亡日とてはなはだ不吉の日なれば、延引あるべし」と申し上げたれば、「われ
往きて彼|亡ぶる日なれば、心配するに及ばず」とて、すぐに軍を出だし、果たして勝利....
「西航日録」より 著者:井上円了
、煙筒林立凌雲処、都是績麻製布場。 (十万の人家は工と商に従う、街車は織るように
往き交って忙しい。煙突は林のごとく立って雲をしのぐほどである。すべてが麻布を製造....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
天気思わしからず、餌は、これを除きてまた他に求むべからず、今日品川沖に赤目魚釣に
往きし忘筌子、利根川(江戸川)に鯉釣に出でし江東子に、獲物を見せて愕かし呉るるも....