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往き来
「往き来〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
往き来の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
いるので、彼もそのままに口をつぐんでしまった。あかりがついて、夜の町に師走の人の
往き来が繁くなると、次郎左衛門は果たして駕籠を呼べと言い出した。しょせん止めても....
「世相」より 著者:織田作之助
頓堀行進曲」「僕の青春《はる》」「東京ラプソディ」などの蓮ッ葉なメロディを戎橋を
往き来する人々の耳へひっきりなしに送っていた。拡声機から流れる音は警察から注意が....
「食魔」より 著者:岡本かの子
混っている擬いものの感じのする街に過ぎなかった。それゆえ彼は、蛍雪館へ教えに通う
往き来のどちらかにだけ日に一度通り過ぎた。 土橋を渡って、西仲通りに歩るきかか....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
|曰くつきらしい女客達が麻川氏を囲んで大柄に坐りこみ、麻川氏の座敷から廊下や庭を
往き来する人達を睥睨するのも愉快では無い。私などそんな女達や陰口の上手な麻川氏等....
「河明り」より 著者:岡本かの子
んが、道楽と申しましょうか、船を一ぱい持って居りまして、それが近年、あちらの方へ
往き来いたしますので……」 娘の父の老主人はリョウマチで身体の不自由なことでも....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
て来て、尼となった。ここに草の庵を結んで、謀叛人と呼ばれた父の菩提を弔いながら、
往き来の旅人に甘酒を施していた。比丘尼塚の主はこの尼であると。 わたしは今ここ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
崎は、アカシヤの葉がのび、白い藤のような花がなまめかしく匂う通りを、気|慌しげに
往き来した。彼は、不機嫌だった。不機嫌なのは、一緒に出かける筈の陳がまだ帰ってこ....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
って全く縁遠いものだった。浅草の観音もさほど有がたいとは思われなかった。せわしく
往き来する人や車を両人はぼんやり立って見ていた。頭がぐらぐらして倒れそうな気がし....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
っております。これは歌としてはよい歌ではありませぬが、 坐禅せば四条五条の橋の上
往き来の人を深山木と見て という歌がありますが、四条五条の橋の上にたくさんの人が....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
渓谷と川とで、形成られた別天地で、都会の中の森林地帯であった。 昼間こそ人々は
往き来したが、夜になるとほとんどだれも通らず、ただひたすら先を急いで迂回すること....
「光は影を」より 著者:岸田国士
話は聞いていたが、その高円寺がもうすぐそこだと気がついた時、彼は、応召間ぎわまで
往き来していた一人の女性、実は、この七年間、文字どおり夢にまでみつゞけた味岡小萩....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
と、静かなのとを主人が喜んで極めたのでした。 住いが近くなったので、団子坂への
往き来が繁くなります。観潮楼の広い二階は書斎と客室とになって、金屏風が一双引いて....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
る。プラタナスの並樹で縁取った海岸の散歩道には、もう蟻ほどの大きさに朝の乗馬連が
往き来している。その中に人を小馬鹿にした様にカプユルタンの王様が女と一緒に象に乗....
「乳を刺す」より 著者:邦枝完二
将軍家が御寵愛のお光の方共々お成りとあって、界隈はいつもの静けさにも似ず、人々の
往き来ににぎわっていた。 「なアお牧、お春や常吉は、まさか道草を食ってるわけじゃ....
「国境」より 著者:黒島伝治
檻から放たれた家畜のように、自由に嬉々として、氷上を辷り、頻ぱんに対岸から対岸へ
往き来した。 「今日は! タワーリシチ! 演説を傍聴さしてもらうぞ」 支那人、....