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往診
「往診〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
往診の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
かし彼の顔は笑ってはいなかった。
* * *
隣りの間で
往診の支度をしていた母が、
「ぬいさん」
と言葉をかけた。おぬいはユニオンの第....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
いるのではありません。それは手前の抱懐する主義と医術とに反するからです。いかにも
往診料はいただきます。しかしそれは拒絶してかえって気を悪くされてはと思えばこそで....
「臨終まで」より 著者:梶井久
けて、直ぐ医者へ行って頓服をもらって来てくれと言います。弟が、今頃行っても医者は
往診で不在だから駄目だと言っても「さがして呉れ――自転車で――処方箋を貰って来て....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
着た青年紳士が一人の刑事に案内されて入ってきた。右の手に黒革の折鞄、俗にいわゆる
往診鞄を携えているのは、言わずと知れたお医者さんである。人間の弱点を取り扱う商売....
「雷」より 著者:海野十三
一向に栄えない田舎医者。老人の腎臓を直したのが、関の山、毎日自転車で真黒になって
往診に走りあるいているが、宝の山を掘りあてたという話も聞かなければ、博士はおろか....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
クか何者かを識別する如く、私はその頃の人力車のあらゆる形式を覚えてしまった。殊に
往診用の自用車というものに憧憬を持ったものである。そして毎日人力車の種々相を描く....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
はわれわれがまったく無考えでした。矢田の母がたずねて来たときは、わたしは急病人の
往診をたのまれて不在でしたが、家内も矢田の母からその話をきかされて、寝耳に水でび....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
物足りなくって、町からも医学士を迎えた。医学士はオートバイで毎日やってきた。その
往診料は一回五円だった。 やっと危機は持ちこたえて通り越した。しかし、清三は久....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
を……」 私にはヘザーレッグのこの解釈は信じられない。私はいつもヘザーレッグが
往診に呼ばれて外出する時には、よくパンセイのそばに坐っていてやったが、ある時わた....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
はわれわれがまったく無考えでした。矢田の母がたずねて来たときは、わたしは急病人の
往診をたのまれて不在でしたが、家内も矢田の母からその話をきかされて、寝耳に水でび....
「安死術」より 著者:小酒井不木
から、わざわざ診察を受けに来るものさえあり、私も毎日二里や三里ずつは、馬に乗って
往診するのでありました。 内科の教室に居ました時分から、私は沢山の患者の臨終に....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、かなり鉢数を持っていられました。買ったものはなく、何か由緒のあるものばかりで、
往診に行った時、遠い山中で掘って来たとか、不治と思った患者が全快したお礼に持って....
「米」より 著者:犬田卯
れ、右足だけでペダルを踏み、それでも危なげなく吹っとばして行った。 村の医者は
往診から帰ったところで、そのまま早速自転車で来てくれた。そして注射を一本打ってお....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
が着て寝る蒲団だけを残していた。その後また薬代四十円も借りたので、医者さんはもう
往診に来ないと言うたのであった。その晩はちょうど、脈も悪くなるし、気が遠くなった....
「三月の空の下」より 著者:小川未明
ど、その時分、|B医師は、暗い路を考えながら下を向いて歩いてきました。彼は、いま
往診した、哀れな子供のことについて、さまざまのことを思っていたのです。 その家....