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待
「待〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
待の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
門弟の数も多かった。甚太夫はそこで惴《はや》りながらも、兵衛が一人外出する機会を
待たなければならなかった。
機会は容易に来なかった。兵衛はほとんど昼夜とも、屋....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
》しさの余り、誰も息を呑んだのではない。見物はたいてい火のかかるのを、今か今かと
待っていたのである。役人はまた処刑《しょけい》の手間どるのに、すっかり退屈し切っ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ちな、一党の客気《かっき》を控制《こうせい》して、徐《おもむろ》に機の熟するのを
待っただけでも、並大抵《なみたいてい》な骨折りではない。しかも讐家《しゅうか》の....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
いる。
「とにかく早く返してやり給え。」
「君は――ええ、忍野君ですね。ちょっと
待って下さいよ。」
二十《はたち》前後の支那人は新らたに厚い帳簿をひろげ、何か....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
住んでいます」と、気味悪そうに返事をすると、匆々行きそうにするのです。 「まあ、
待ってくれ。そうしてその婆さんは、何を商売にしているんだ?」 「占い者です。が、....
「墓」より 著者:秋田滋
の生命そのものだったのであります。彼女を措いて、わたくしにはもうこの世に何一つ期
待するものはありませんでした。わたくしは何ものも、何ものも望まなかったのでありま....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
ころで私は年をとると、物ごとの怖ろしい惨めさ、努力などの何の役にも立たぬこと、期
待の空なこと、――そんなことはもう諦念めてしまっていた。ところが今夜、晩の食事を....
「初雪」より 著者:秋田滋
起きるのであろう? 起きて来そうなことは無い。自分の心を元気づけてくれるような期
待とか希望、そんなものが何か自分にもあるだろうか? そんなものは一つとして無かっ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
へ戻りて半夜なりとて明かさるべきにあらねば、次第に更けて人の通りの少なくなるを心
待にして西へ東へと行きかえるうち、巡行の巡査の見咎むるところとなり、「御身は何の....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
「ちょっと、ある言葉を忘れても、チェッチェッとか、エーエーとか言わず、しばらく
待っておれば、すぐに続きを思い出すものだ。こうすると、悪い習慣がつかないで、すら....
「寡婦」より 著者:秋田滋
大きすぎるし、そうかと云って真面目な恋をするには、まだ年がわか過ぎてよ。あたし、
待っているわ」 私はそれでけりがついたものとばッかり思っていたのです。 秋に....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
どだった。おそろしいもの影が、雪の夜のぼんやりすさまじく光るなかで、彼の通る路に
待ちうけていた。荒れはてた野原の彼方の遠くの窓から流れてくる光が、ちらほらとほの....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
、教会へ這入って来る人の顔を一つ残らずじいッと視つめていた。彼は、学生が日曜日を
待ち佗びるように、日曜が来るのを首をながくして
待った。その日は、教会が絶えず人で....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
かし気持が好いことだろう、ああ、そうすることが私に出来たら。 しかし、私はまた
待とう。
待っていてもいいのだ。またすぐにそんな気になるのだから。 ………………....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
行きました。 坂の下の方では、伊作はさも、もどかしそうに、二人の下りて来るのを
待っていました。 「騙されたと思って、急ぐべし!」 と多助は、炭俵をがさがささせ....