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待兼ね
「待兼ね〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
待兼ねの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
った癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を噤《つぐ》んでいる。趙生はとうとう
待兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。
「それからどうしたのだ?」
「それから....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
と下りる。下りると、すっと枝に撓って、ぶら下るかと思うと、飜然と伝う。また一羽が
待兼ねてトンと下りる。一株の萩を、五、六羽で、ゆさゆさ揺って、盛の時は花もこぼさ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
りに、黒髪だけ際立ったが、向った土間の薄暗さ、衣の色|朦朧と、俤白き立姿、夫人は
待兼ねた体に見える。 会釈もさせず、口も利かさず、見迎えの莞爾して、 「まあ、....
「妖術」より 著者:泉鏡花
表向は社用につき一軒廻って帰る分。その実は昨夜の酒を持越しのため、四時びけの処を
待兼ねて、ちと早めに出た処、いささか懐中に心得あり。 一旦家へ帰ってから出直し....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ゝいますと、案の通りその跫音は木戸の外へひた/\と寄って来ましたので、さっきから
待兼ねていたわたくしは、すぐに木戸をあけて暗いなかを透して視ますと、そこには人が....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
(真仰向けに承塵を仰ぐ)屋の棟に、すでに輿をばお控えなさるる。 薄 夫人も、お
待兼ねでございます。 手を敲く。音につれて、侍女三人出づ。斉しく手をつく。 早や....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
って、ハッと思う、……懐中に、どうしたか失せて見えなくなった。ただ、内へ帰るのを
待兼ねて、大通りの露店の灯影に、歩行きながら、ちらちらと見た、絵と、かながきの処....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
っと逡巡った。 同時に、あらぬ方に蒼と面を背けた。 六 紫玉は
待兼ねたように懐紙を重ねて、伯爵、を清めながら、森の径へ行きましたか、坊主は、と....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
じゃないぜ……そこへぬっくりと顕れたろう、酔っている、幻かと思った。」 「ほんに
待兼ねていなさったえ。あの、笛の音ばかり気にしなさるので、私もどうやら解めなんだ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
を、行燈|見越に立はだかる、と縄からげの貧乏|徳利をぬいと突出す。 「丑満の鐘を
待兼ねたやい。……わりゃ雪女。」 とドス声で甲を殺す……この熊漢の前に、月から....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
人様。」 「お珊様。」 「女紅場では、屋台の組も乗込みました。」 「貴女ばかりを
待兼ねてござります。」 襖の中から、 「車は?」 と静に云う。 「綱も申し着....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
を済ますとそそくさと飛び出して行った。 青山喬介は安楽椅子に腰かけて雄太郎君を
待兼ねていた。「今日、蜂須賀巡査と云うのに会って来たが、なかなか間に合いそうな男....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
きするを怠らなかった。 この間にお綾は裏口から河原へ出た。そこには野末源之丞が
待兼ねていた。 五 誰も他にいなくなった離れ座敷では、忽ち形勢が....
「山吹」より 著者:泉鏡花
だよ。 夫人 ほんとうかい、ほんとうに打つのかね。 人形使 何とももう堪らねえ、
待兼ねますだ。 夫人 ……あとで強情られたって、それまでの事だわね。――では、約....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
のです」と息も吐かずに饒舌るのを、私も固唾を呑んで聞澄していたが、其の噺の了るを
待兼ねて、「併しそれが可怪いじゃアないか、其の奥様は大層継子を可愛がったと云うの....