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待遠
「待遠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
待遠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
が当る度に、たぶりと云うかすかな音が聞えた。が、女は未だに来ない。
尾生はやや
待遠しそうに水際まで歩《ほ》を移して、舟|一艘《いっそう》通らない静な川筋を眺め....
「路上」より 著者:芥川竜之介
落着かない言葉を交換した。彼等は二人とも、周囲の群衆の気もちに影響されて、発車が
待遠いような、
待遠くないような、一種の慌《あわただ》しさを感じずにはいられなかっ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
と一しょに承知の旨を答えると、早速電話を切りましたが、さあそれから日の暮までが、
待遠しいの、
待遠しくないのじゃありません。算盤《そろばん》を弾く。帳合いを手伝う....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
が困るで、そろそろ青を引出して支度《したく》しておこうと思うてよ。)
(それはお
待遠《まちどお》でござんした。)
(何さ、行ってみさっしゃいご亭主《ていしゅ》は....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
す積りです。」 「厭ねえ、二三年。……月に一度ぐらいは遊びに行った日曜さえ、私、
待遠しかったんだもの。そんな、二年だの、三年だの、厭だわ、私。」 お妙は格子戸....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
お仕合せでおいで遊ばします。 侍女一 早くお着き遊せば可うございます。私どももお
待遠に存じ上げます。 公子 道中の様子を見よう、旅の様子を見よう。(闥の外に向っ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
音ばかり気にしなさるので、私もどうやら解めなんだが、やっと分ったわな、何んともお
待遠でござんしたの。」 「これは、おかみさま、御繁昌。」 「お客はお一人じゃ、ゆ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
飩屋小僧は、これから、割前の相談でもありそうな処を、もどかしがって、 「へい、お
待遠様で。」と急いで、渋団扇で三人へ皆配る。 「早いんだい、まだだよ。」 と差....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
」 と思わず言った。 釣ランプが、真新しい、明いのに取換ったのである。 「お
待遠様、……済みません。」 「どういたしまして、飛んだ御無理をお願い申して。」 ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
妻が、段を下りて、廊下へ来た。と、いまの身なりも、損料か、借着らしい。 「さ、お
待遠様。」 「難有い。」 「灰皿――灰落しらしいわね。……廊下に台のものッて寸法....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
立花は品位に打たれて思わず頭が下ったのである。 ものの情深く優しき声して、 「
待遠かったでしょうね。」 一言あたかも百雷耳に轟く心地。 「おお、もう駒を並べ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
の、刺青をしてるお婆さんが湯気に上ったというものですから、世話をしてね、どうもお
待遠様でした。」 と、襖を開けてその六畳へ入ると誰も居ない、お縫は少しも怪しむ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ないと思いましたからね、思い切って聞いて試ようと、さあ、事が極ると日の暮れるのが
待遠いよう。」 「婦人二人は、また日が暮れると泊りに来ました、いい工合に青緡を少....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の酒は、日が暮れてからであった。 女房は暮合いに帰って来て、間もなく、へい、お
待遠、と台所へ持込んだけれども、お夏の心づけで、湯銭を持たせて、手拭を持たせて、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
得三これを打見遣り、「お藤、かねて言い聞かした通り、今夜は婿を授けてやるぞ。さぞ
待遠であったろうの。と空嘯きて打笑えば、美人はわっと泣伏しぬ。高田はお藤をじろり....