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待顔
「待顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
待顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
「何にもお構い申しません。私共でも何時《いつ》でもこの通りです」
と細君は款
待顔《もてなしがお》に言った。
「岸本さんのようにわざわざ日本から仏蘭西へお出掛....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
。その時は余程空腹を感じていた。 「さア、肉も煮えやした」と細君は給仕しながら款
待顔に言った。 「お竹さん、勘定して下さい、沢山頂きますから」とW君も心易い調子....
「家」より 著者:島崎藤村
お種が入って来た。 「ネブ茶を香ばしく入れましたから、持って来ました」とお種は款
待顔に言て、吾子と弟の顔を見比べて、「正太や、叔父さんにも注いで進げとくれ」 ....
「家」より 著者:島崎藤村
叔父は用事ありげに下座敷へ通った。 「叔父さん達は御風呂は如何ですか」と豊世は款
待顔に、「今日は、郷里へ帰る人の御馳走に立てましたところですが――」 「それじゃ....
「嵐」より 著者:島崎藤村
祝する私の心はその盃にあふれた。私は自分の年とったことも忘れて、いろいろと皆を款
待顔な太郎の酒をしばらくそこにながめていた。 七日の後には私は青山の親戚や末子....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
下に、潜戸を細目に背にした門口に、月に青い袖、帯黒く、客を呼ぶのか、招くのか、人
待顔に袖を合せて、肩つき寒く佇んだ、影のような婦がある。と、裏の小路からふらりと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
十七 お京は下向の、碧玳瑁、紅珊瑚、粧門の下で、ものを期したるごとくしばらく人
待顔に彳んだのは誰がためだろう。――やがて頭巾を被った。またこれだけも一仕事で、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
した後では、揃ってこの演芸館へ練込んで、すなわち放楽の乱舞となるべき、仮装行列を
待顔に、掃清められた状のこのあたりは、軒提灯のつらなった中に、かえって不断より寂....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
かな女 春宵美しいびろど張の椅子に一人の女が、カルタの札を白い指で弄びつつ人
待顔に、ひとり占をしている。ドアがあく。小間使が一通の手紙をもってはいってくる。....
「食堂」より 著者:島崎藤村
。ここでお昼飯を召上って下さい。内は反ってごたごたいたしますから」 とお力は款
待顔に言って、お三輪のために膳、箸、吸物椀なぞを料理場の方から運んで来た。 「お....
「秋空晴れて」より 著者:吉田甲子太郎
、今夜、帰ってから相談することにしよう。気をつけて帰れよ」 平吉はさっきから人
待顔にすぐ前に下っていた太い鎖の先の鈎に軽く右足をかけて鎖に全身を托した。ウィン....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
》の上に瓦の照返しが蒸れて、行人の影もまばらに、角のところ天屋の幟《のぼり》が夕
待顔にだらりと下っているばかり――。 当時鳴らした八丁堀合点長屋の御用聞釘抜藤....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
替えて貰おう。」と、霎時して重太郎は自分の枝を出した。お葉も自分の枝を出した。春
待顔に紅い蕾を着けた椿の二枝は、二人の手に因て交換されたのである。 重太郎はお....