律儀[語句情報] »
律儀
「律儀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
律儀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
た。 坂野はむろん疑いもしなかった。昨夜は女房の奴がまた御厄介で――と、へんに
律儀に恐縮していた。銀ちゃんは返す言葉もなかった。 細君も悩んだが、しかし、こ....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
た。恐らく、娘はもう養子のものと譲った気持ちからであろう。私は昔風な父のあまりに
律儀な意地強さにちょっと暗涙《あんるい》を催したのであった。 まわりの円味がか....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ったが、柳吉は素知らぬ顔で、ちょいちょい横眼《よこめ》を使うだけであった。それが
律儀者《りちぎもの》めいた。柳吉はいささか吃《ども》りで、物をいうとき上を向いて....
「世相」より 著者:織田作之助
ればよいのだろうかと、思案に暮れていた矢先き、老訓導の長尻であった。 けれども
律儀な老訓導は無口な私を聴き上手だと見たのか、なおポソポソと話を続けて、 「……....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ぱり御相談をねがいに出てよろしゅうございました。では、くれぐれもお願い申します」
律儀《りちぎ》一方の利兵衛はくり返して頼んで帰った。こうなると、三社祭りなどは二....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
て。」 と紺の鯉口に、おなじ幅広の前掛けした、痩せた、色のやや青黒い、陰気だが
律儀らしい、まだ三十六七ぐらいな、五分刈りの男が丁寧に襖際に畏まった。 「どうい....
「河明り」より 著者:岡本かの子
がて、私から少し離れて腰をおろして口を切りだした。海を放浪する男にしては珍らしく
律儀な処のある性質も、次のような男の話で知られるのであった。 「お手紙で、あの娘....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
内職でなく、もと/\武芸が好きで、慾を離れて弟子を取立てゝいたのですから、人間は
律儀一方で武士気質の強い人、御新造はおみのさんと云って夫婦のあいだに姉弟の子ども....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
祭の夜を見物かたがた、ここへ来た時は。……「何だ、あの謙斎か、按摩め。こくめいで
律儀らしい癖に法螺を吹いたな。」そこには松ばかり、地蔵ばかり、水ばかり、何の影も....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
ォアのイギリス人が日当りの好さそうな卓を選んで席を取った。彼は女達には知らん顔で
律儀に焼パンと紅茶を誂えた。 女達も彼には一向無頓着で、きゃっきゃっと笑い続け....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
のおのれといい交して日本中の花と見るは我が宿の菊一輪と固く心に誓っていた。自分は
律儀一方の三河武士である。唯一筋に思いつめたが最後白柄組の付合にも吉原へは一度も....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
いた武田さんの正直さがそのままにじみ出ているような作品であった。その正直さはふと
律儀めいていた。一見武田さんに似合わぬ
律儀さであった。が、これが今日の武田さんの....
「木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
したのが、即ち次の物語だ。因に記す、右の猟師は年のころ五十前後で、いかにも朴訥で
律儀らしく、決して嘘などを吐くような男でない。 昔からのお噺をすれば種々あるが....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
しょうと、父爺が亡くなってからも暑さ寒さにゃあお見舞を欠かしたことがないという、
律儀はこんな時用に立ちます、で母親が取りあえず。」 「深川へ参りましてね、母親が....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
されなければならない破目に立到ったのを、色々苦心の末に、この山奥にお捨て申して、
律儀な百姓の手に御養育いたさせたのだ。その証拠はお子を拾い上げた者が所持している....