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後にも先にも
「後にも先にも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後にも先にもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
う三分間待っていてくれ給え、儂が待っている電話があるのだから」 大江山課長は、
後にも先にも経験しなかったような永い三分間を送った。――ボーン、ボーンと遠くの部....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
文字を書きしとは、如何に考うるとも受取られず、あゝ余は唯是だけの事に気附てより、
後にも先にも覚なき程に打驚き胸のうち俄に騒ぎ出して、轟く動悸に身も裂くるかと疑わ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
子のような大聖でも、つい容貌で人を判断して誤った場合があったので、孔子の失敗談は
後にも先にも此の一事だけだから面白い。 所で、支倉喜平だが、彼はかく容貌が悪相....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
く立腹しましたよ。『勿体ない事をする』というのでね。恐ろしい顔をして見せました。
後にも先にも私が只圓から叱られたのはこの時だけでしたよ」 云々……と。師弟の順....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
した。これはふしぎなことでございます。旦那様は戸締を厳重においいつけなさる方で、
後にも先にもそんな不要慎な戸の閉め方をなさる方ではありませんでな、わしはたいへん....
「空襲警報」より 著者:海野十三
悪魔の化身のような姿! 長いこと飛行機は見てくらしたが、こんな飛行機を見たのは、
後にも先にもたったいまが始めて……。 「あッ、これァ大変だ!……起きろ起きろ、み....
「転機」より 著者:伊藤野枝
力もない。下半身から伝わる寒気に体中の血は凍ってしまうかとばかりに縮み上がって、
後にも先にも動く気力もなくなって、私はもう半泣きになりながら、山岡に励まされて僅....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
ような甘い言葉や甘い身のコナシを見せようと努力していた。そんな努力を払ったのは、
後にも先にも、私一人に対してゞあったかも知れない。然し、努力であったことに変りは....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
するような驚愕と共に、彼を見つめた。そして私は見つめ見つめたがさて、私はたしかに
後にも先にも生涯にただ一度の、気絶をしてしまったらしかった。たしかに気絶をしたに....
「可愛い女」より 著者:神西清
得もはなれて、しん底からのうれしい気持で、自分の魂をささげきる気になったことは、
後にも先にもただの一度もありはしなかった。彼女にしてみれば赤の他人のこの少年、そ....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
・イヴァーノヴナが立って行ってからまる四年の間に、彼がトゥールキン家を訪れたのは
後にも先にもたった二度で、それも相変らず偏頭痛の療治をしているヴェーラ・イオーシ....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ちてくるものは、仕方がねえや」 原子バクダンというものが人間の頭上に落ちたのは
後にも先にもこの国だけだが、この楽天国の人間は悠々虚心タンカイである。 お前サ....
「御堀端三題」より 著者:岡本綺堂
った。 それを友達に話すと、君は精神病者になるなぞと嚇された。しかもそんな例は
後にも先にもただ一度で、爾来四十余年、幸いに蘆原将軍の部下にも編入されずにいる。....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
、心にもない笑顔を作ったり強いて満足らしい身振りを取り繕わなければならなかった。
後にも先にも一ぺんきりであったが、父親のピョートル・レオンチイッチが或る不義理な....
「猪の味」より 著者:北大路魯山人
美しさを見た時の気持の動きも手伝ったことだろうと思うが、食道楽七十年を回顧して、
後にも先にも、猪の肉をこれほど美味いと思って食ったことはない。私は未だにそれを忘....