後の月[語句情報] »
後の月
「後の月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後の月の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
前にある高い石垣、古い池、後に茂る深い竹藪《たけやぶ》は父の侘《わび》しい暗い最
後の月日を想像させた。
百十九
すべてこれらの父に関する記....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。」 徳さんは笑いながら薄をみせた。二人は云い合わしたように暗い空をみあげた。
後の月は雨に隠れそうな雲の色であった。私はさびしい心持で徳さんと並んであるいた。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
て多くの志士学者などの間に重きをなしている松尾|多勢子のような活動的な婦人が帰郷
後の月日をむなしく送っているはずもない。多勢子とは親戚の間柄にある景蔵ですら再度....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
、こんなことを言った。荻生さんは清三のつねに悲しそうな顔をしているのを心配した。
後の月は明るかった。裏の林に野分の渡るのを聞きながら、庫裡の八畳の縁側に、和尚さ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
していたものが俄に多くの月給を取るので、総てが奢り散らしたものである。もう百両前
後の月給を取る内には、書生の二、三人を置き学資を給して学問をさせていた位である。....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
草原こそ究竟《くっきょう》、足場はよし、味方は地理を心得ておるしのう――」
「雨
後の月見にでもことよせて、お蓮の方にひきだしてもらうのじゃナ」
「なにしろ相手は....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
今日一日で月が変ると、明日からは十二月。一年に十二回ある晦日という奴も気に入らないが、十二月という最
後の月は月全体が性にあわない。昨日今日からメッキリ寒気が身にしみやがると、モーロ....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
松に尚ほ 久女 山駕にさししねむけや葛の花 せん女 玉芙蓉しぼみつくして
後の月 より江 三 境遇個性をよめる句 須磨の山荘に久しい宿痾を....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
は次第に兇暴になった。 恐ろしいことが起こらなければよいが! それは夕立の雨
後の月が、傾きかけている深夜であった。新吉原の土手八丁、そこを二人の若い男女が、....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
とが書いてあったのだ。 当家の妾たまと申す者、家来と不義のこと露顕いたし候|間、
後の月見の夜、両人ともに成敗を加え候ところ、女の亡魂さまざまの祟りをなすに付、そ....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
立した一つの句としては皆|振ったものであった。試にその一、二句を抜載して見れば、
後の月ちんばの馬に打ち乗りて 鉄網の中にまします矢大臣 銘を賜はる琵琶の春寒 意....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
燕《つばめ》啼《な》いて夜蛇を打つ小家かな 梨の花月に書《ふみ》読む女あり 雨
後の月|誰《た》そや夜ぶりの脛《はぎ》白き 鮓《すし》をおす我れ酒かもす隣あり ....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
猟師よと拳にさざめく夕涼み。本八丁堀三丁目、海老床《えびどこ》の縁台では、今宵、
後の月を賞めるほどの風雅《みやび》はなくとも、お定例《きまり》の芋、栗、枝豆、薄....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
に芒が生えている。近づいて見ると「この草取るべからず」という制札を立ててあって、
後の月見の材料にと貯えて置くものと察せられた。宿に帰って朝飯の膳にむかうと、鉢に....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
して残念といわれましょう。なんの遺憾があります? 私たちの現在の心境は、むしろ雨
後の月みたいです。負けて悔いなき戦でした」 「そう聞けば、私たちは恥ずかしい気が....