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後れ
「後れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
那様《だんなさま》に差し上げてくれと申しましたから。」
お芳は愈《いよいよ》気
後れのしたように古い新聞紙の包みを一つ、茶の間へ膝《ひざ》を入れる前にそっと台所....
「星座」より 著者:有島武郎
ように襟元をつめた。束髪にはリボン一つかけていないのを知って、やや安心しながら、
後れ毛のないようにかき上げた。そして袖口をきちんと揃えて、坐りなおすと、はじめて....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
い。それは御深切に」 老夫は腹だたしげに御者の面《かお》を偸視《とうし》せり。
後れたる人力車は次の建場にてまた一人を増して、後押《あとお》しを加えたれども、な....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ここへ大いなる福音を齎らし来ったのはお源で。 手廻りの使いに遣ったのに、大分
後れたにもかかわらず、水口の戸を、がたひし勢よく、唯今帰りました、あの、御新造様....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
めの闘争がそれほどにひどくない地方では、既に遠い昔から、地球の起源について、少し
後れてはまた、天の起源――換言すればこの地球以外にある物象の起源――に関する疑問....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
われわれの相手になるものに劣らぬ物質力を作り上げなければならないのです。この立ち
後れた東亜がヨーロッパまたは米州の生産力以上の生産力を持たなければならない。 ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
圧して、その単衣の縞柄にも顕れていたのであった。 「そして貴僧は、」 「これは申
後れました、私は信州松本の在、至って山家ものでございます。」 「それじゃ、二人で....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
と言う別嬪、以前で申せば湯女なんだ。 いや、湯女に見惚れていて、肝心の御婦人が
後れました。もう一人の方は、山茶花と小菊の花の飛模様のコオトを着て、白地の手拭を....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
かったんです。もっともね、すぐその前、あすこで――私はお約束の大時計より、大変な
後れ方ですから、俥をおりると、早廻りに、すぐ池の端へ出て、揚出しわきの、あの、ど....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のいたいけざかりにこちらの世界に引き移ったものだそうで、その時代は私よりもよほど
後れ、帰幽後ざっと八十|年位にしかならぬとのことでございました。父親は相当高い地....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
井菊屋の人たちばかり。早や内へ入るものがあって、急に寂しくなったと思うと、一足|
後れて、暗い坂から、――異形なものが下りて来た。 疣々打った鉄棒をさし荷いに、....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
たのが、あるき悩んだ久我どのの姫君――北の方を、乳母の十郎|権の頭が扶け参らせ、
後れて来るのを、判官がこの石に憩って待合わせたというのである。目覚しい石である。....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
として、小さな石地蔵が六体、……ちょうど、義経の――北国|落の時、足弱の卿の君が
後れたのを、のびあがりのびあがりここで待ったという――(人待石)の土手下に……」....
「活人形」より 著者:泉鏡花
しきりに心急ぎて、早くお藤の方をつけよ。夏とはいえど夜は更けたり。さまでに時刻|
後れては、枕に就くと鶏うたわむ、一刻の価値千金と、ひたすら式を急ぐになん。さはと....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
く離れていることがある。その時は二声も三声も呼ぶ。山彦が遥かの峰から応えて、少し
後れながら淋しい趣きをそえつつ同じ声をもって来る。時とするとはっきり全く違った応....