後ろ影[語句情報] » 後ろ影

「後ろ影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

後ろ影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
ったがそのたくましげな体躯の黒い輪郭が今も僕の目の底に残っている。 『僕は壮漢の後ろ影をじっと見送って、そして阿蘇の噴煙を見あげた。「忘れ得ぬ人々」の一人はすな....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
ははははは、どれ」 口には笑えど、目はいささか懌ばざる色を帯びて、出で行く姑の後ろ影、 「御免遊ばせ」 と起き直りつつ見送りて、浪子はかすかに吐息を漏らしぬ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
う》と倒れます。 三十二 高橋と島田と清川とが談笑しつつ行く後ろ影を見送って、やはり呆然として立っているのが机竜之助でした。 竜之助は術も....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の早い野郎だ」 と笑っていました。 なるほど、足の早い野郎で、忽《たちま》ちに後ろ影さえ見えなくなってしまいました。 「お武家様、お前様は、あの男に見込まれな....
竜舌蘭」より 著者:寺田寅彦
いっしょに帰ればよかったと心で繰り返す。けむる霧雨の田んぼ道をゆられて行く幌車の後ろ影を追うような気がして、なつかしいわが家の門の柳が胸にゆらぐ。騒々しい、殺風....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「早く帰って下さい、そうでないと心細いのですから」 「うむ」 出て行く竜之助の後ろ影を見送りながら、 「あの人は、情愛というものを知ってかしら」 何とはなし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。 「有難え、ありがてえ」 惣太はおしいただいて、また少し行くと、今度はその後ろ影を見ていた金蔵が何か思い出したように、 「惣太さん――」 「何だい」 「お....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お豊は、ホッという息をつき、大急ぎで引っかけた着物の襟《えり》を直してその人の後ろ影を見送るのでありましたが、やっぱり、これはこの山に住む修験者か山伏のなかの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てみち》を谷村の方へ急いで参ります。 お玉は少しのあいだ立ち止って、お杉の行く後ろ影を見送っていましたが、 「わたしも急ぎましょう、今日は帰ってから古市《ふる....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
えた幸内が、ちょうど、いつぞや入って来た時に、お嬢様と会った小橋の上を渡って行く後ろ影が見えました。 三 お君はお銀様の居間へ上りました。 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
さい」 と言い捨てて、座を蹴立てるようにして立去りました。 お銀様は父の立去る後ろ影を、凄《すご》い面《かお》をして睨めていましたが、 「ええ、ようございます....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
笑みつ、さて二人は唄うこともとのごとくにしてかなたに去りぬ。 げに見すぼらしき後ろ影、蓬なす頭、色あせし衣、われはしばしこれを見送りてたたずみぬ。この哀れなる....
河霧」より 著者:国木田独歩
犬が地をかぎかぎお伴をしてゆく。 豊吉はわれ知らずその後について、じっと少年の後ろ影を見ながらゆく、その距離は数十歩である、実は三十年の歳月であった。豊吉は昔....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
」 久「そうだった、粗忽かしいから仕方がねえ、明樽はござい/\」 と流して往く後ろ影を見送って、多助は右の穢ないおかめの手を取って、 多「叔母さん此処え掛けな....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
いのであるが、その牡鳥は多くは二尺位もある長々しい尾を持っているので、飛んで行く後ろ影を眺めわたすと、鮮かに他の鳥と区別することが出来る。その長い尾を曳いて両翼....