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「後ろ手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

後ろ手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:島木健作
看守と雑役夫とがかけつけてようやく組み伏せるまで、若者は狂気のように荒れ狂った。後ろ手に縛り上げられた静脈のふくれ上った拳にはガラスの破片が突き刺さって鮮血で染....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の白い、美しい者ばかりで、身にはいろいろの色彩のある美服を着けていたが、いずれも後ろ手にくくり上げられて恐るおそるに頭を垂れてひざまずくと、石上の男はかれらを一....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ている。いつのまにか半蔵の膝はお民の方へ向いた。彼はまるで尻餅でもついたように、後ろ手を畳の上に落として、それで身をささえながら、妻籠から持って来たという記念の....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
方は天誅に連れて行くから、そう心得るがいい。」 近くにある河のところまで浪士は後ろ手にくくった百姓を引き立てた。「天誅」とはどういうわけかと降蔵が尋ねると、天....
」より 著者:島崎藤村
、「子が親を縛るということは無い筈ですが、御病気ですから許して下さい」と言って、後ろ手にくくし上げた。それから忠寛は木小屋に仮に造った座敷|牢へ運ばれた。そこは....
映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
繕工夫が主人公になっている。それが友だちと二人で悪漢の銀行破りの現場に虜になって後ろ手に縛られていながら、巧みにナイフを使って火災報知器の導線を短絡させて消防隊....
変な男」より 著者:豊島与志雄
なく戻ってきて、足音を偸みながら玄関の室の襖に近寄り、そこにぴたりと身を寄せた。後ろ手にした右手に、庖丁を握りしめていた。暗薄い光りにも、ぴかりと光ったその刃先....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
に取上げて、大きな鼈甲の簪を一つ無雑作に※していた。ボーイが開けてくれた扉を斜め後ろ手に閉めきっておいて、挨拶もせずに私の方へつかつかと進んできた。その様子を一....
決闘」より 著者:神西清
えって喜ぶだろうよ。じゃ、さよなら。」 彼は愛想よく別れを告げて出て行ったが、後ろ手に部屋の扉を閉めようとしてフォン・コーレンを振り返り、怖ろしい顔をして言っ....
地上」より 著者:島田清次郎
薄暗い戸口で格闘がはじまった。何といっても容太郎が強かった。彼は少年を捻じ伏せて後ろ手に帯で縛り上げてしまった。そしてお光に村の者を呼んで来いと言った。お光はそ....
真珠の首飾り」より 著者:神西清
―頭をふりふり、くるりと相手に背を見せると、書斎へ引揚げてしまった。それも、いざ後ろ手にドアをしめる段になって、なんとしても腹の虫がおさまらず、――わざわざドア....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
ただね、このリーヴンのお客さんがたは、気分に障りやすぜ」――そう彼は、玄関の戸を後ろ手にしめながら、溜息まじりに洒落のめした。 「さてそこでと、一体どうしたもん....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
のもその家であった。丁度私の訪問して行った時に中根氏が見えていて痩せた長い身体を後ろ手に組んで軒近く縁端に立って居ると漱石氏もその傍に立って何か話をしていた光景....
審判」より 著者:カフカフランツ
もう、爪立ちながら一台の自動車に合図して、運転手に行先をどなってやりながら、Kを後ろ手で自動車に引っ張りこんだ。 「これからフルト弁護士のところへ行こう」と、彼....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ものを脱ぎはじめた。 この男を、この部屋から外に出してはならない。博士はドアを後ろ手に開いて廊下にとびだし、バタンと閉めた。カギがない。透明人間が内側から開け....