後ろ指[語句情報] »
後ろ指
「後ろ指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後ろ指の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
らいきなり不自由な浮世のどん底にほうり出されながら、めげもせずにせっせと働いて、
後ろ指をさされないだけの世渡りをして、だれからも働きのある行く末たのもしい人と思....
「或る女」より 著者:有島武郎
分ではいいながら、若い時に亭主《ていしゅ》に死に別れて立派に後家《ごけ》を通して
後ろ指一本さされなかった昔気質《むかしかたぎ》のしっかり者だけに、親類たちの陰口....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
は途上で私に出遇《であ》うと、おとなしい私に恰も憎むべき罪があるかのように軽蔑の
後ろ指をさして、 「あんな碌《ろく》でなしの、馬鹿野郎の像をつくるなんて!」 ....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
から十五年前に相当の財産を残して死去し、男勝りの未亡人は三人の子を育てて、他人に
後ろ指一本指されないでいままで暮らしてきました。長男を健吉、二男を保一、その妹が....
「縮図」より 著者:徳田秋声
」 「大変長話で貴女も御迷惑でしょうけれど、そういう訳で、私もあの子には世間から
後ろ指を差されるようなことはさせたくありません。女親は甘いからあんな子息が出来た....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
愛情を満足させねばならぬ男女は、社会の道徳によって極度に虐待される。侮辱されたり
後ろ指を指されたり、権利を蹂躙されたりする。最近或る愚昧な一群の「名流婦人」達が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
分の者が、仮りにほいと賤人の女を取って妻妾となし、それにうつつを抜かして世の人に
後ろ指ささるるようなことがあらば、それが家庭の一小事で済まされようや、また左様な....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
るかしれない、十六にもなれば人の目につく年ごろだからめったなことをして奉公人共に
後ろ指をさされることになると、あの子の名誉にもかかわる、さりとてうちすておくこと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、そこで死にたい」 とお雪ちゃんが、むつかりました。 「このまま人に助けられて、
後ろ指をさされるのは、わたし死ぬよりも辛い、そうかといって、へたに死んで亡骸《な....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
えば、もう、どこへ行こうと、誰かに、或るいは自分の気持ちに、ここから逃げ出したと
後ろ指をさされることもないのだ。 朗かとまではゆかず、悲壮めいた気持ちで、長谷....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
前もか。斉彬の代になるのを待つつもりで、あれ見よ、赤山は、未だ生延びておる、と、
後ろ指を指されるのが、嬉しいか」
「いや、決して左様な――」
「恥を忍んで、斉彬....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
だってなかなかいい女じゃないか?……おまけにこの俺だって、有難いことに、世間から
後ろ指をさされたことはない。だのにその俺たち夫婦が、四年もつづいた幸福な、束の間....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
印だ」 「まだ若えのに可哀想に――」 そういって何べんすれ違う人たちに嗤われ、
後ろ指さされたことだろう、でもてんでそんなこといまの小圓太の耳には入らなかったの....