後ろ髪[語句情報] » 後ろ髪

「後ろ髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

後ろ髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ので、彼はインバネスを着て、あたふたと部屋を出たが、車が走りだしてから、彼は何か後ろ髪を引かれる感じで、この場の気まずさを十分知りながらも、汽車に間に合わないこ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
いませぬか。サア、出発、出発!」 と、さけんだ。 十一 お蓮さまはそれでも、後ろ髪を引かれる思い。 「源様ッ!――源三郎さまッ!」 胸をしぼるような最後の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、お玉は立ちかけますと、 「まあ待ってくれ」 竜之助は静かに呼びとめる。魔物に後ろ髪を引き戻されるように、お玉は立ち竦《すく》んで、 「何か御用でございますか....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
玉とあるではないか。 米友は、この二里八町の道を、絶えずそのことばかり思うて、後ろ髪を引かれ引かれてこれまで来ました。途中、幾度も、この杖も、荷物も投げ出して....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、お豊が離れたのです、離れたがったのは本人の意志ではなく、誰か上の方で、あの女の後ろ髪をしきりに引くものがあるので、それでお豊がわたしから離れてしまいました」 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の天を燃やしているその灯に、名残《なご》りが惜しまれて、後朝《きぬぎぬ》の思いに後ろ髪を引かれたのかと思うと、必ずしもそうでもないようです。 またしても、人を....
復讐」より 著者:豊島与志雄
や水、自分自身の飛行や墜落、そういう類のものは別として、人間の夢となれば、ちと、後ろ髪を引かるる思いまでする。 夢に出てくる人々は、私にあっては、たいてい、平....
妾の半生涯」より 著者:福田英子
人々の諌《いさ》むるを聞かず、叔母《おば》と乳母《うば》とに小児を托して引かるる後ろ髪を切り払い、書生と下女とに送られて新橋に至り、発車を待つ間にも児は如何《い....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
しまった。 で、その後のここの庭には、白々と頸を日にさらして、その頸へかかった後ろ髪を、細かく細かく細かく、顫わせて泣いているお菊のほかには、人の姿は見られな....
おおかみと人」より 著者:小川未明
して、おおかみが情けを感じてくれたのではないかと考えました。 彼は、なんとなく後ろ髪を引かれるような気持ちがしましたが、おそるおそる前に向かって、歩き出しまし....
かもめ」より 著者:神西清
かぶりを振る。 トリゴーリン ね、いようじゃないか! アルカージナ あなた、何に後ろ髪を引かれてらっしゃるか、わたしちゃんと知っていますよ。でも、自制力がなくち....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ることは情においてしのびなくなった。 梯子の下にしゃがんだまま、お綱もさすがに後ろ髪をひかれている。 「ううむ……また痛みはじめてきた。お十夜のやつに斬られた....
三国志」より 著者:吉川英治
群臣がうごく。群臣がうごくと帝も迷いにつつまれる。蜀朝廷は実にいつも遠きに孔明の後ろ髪を引くものであった。ここにおいて孔明は、 「三年は内政の拡充に力を注ごう」....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、くりかえした。 高氏の胸には「……また、いつかは」と呼ぶその声が、谺のように後ろ髪を曳いていた。――が、それは道誉のでなく、心から心へ聞える藤夜叉の声だった....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ているし、爺の気もちもむりではないと察しるのである。眸で、爺の眸をなだめ、そして後ろ髪を引かれるように奥へかくれた。 それと、入れちがいに、 「案内はいい」 ....