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後退
「後退〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後退の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
大戸棚《おおとだな》の前で、入《いれ》ちがいになって、女房は店の方へ、ばたばたと
後退《あとずさ》りに退《すさ》った。 その茶の室《ま》の長火鉢を挟《はさ》んで....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
さらないなら、久しぶりですから一銚子、と莞爾して仰せある、優しい顔が、眩いように
後退して、いずれまた、と逃出すがごとく帰りしなに、お客は誰?……とそっと玄関の書....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の他の点では、その考え方はペシミスティックである。すなわち、毎周期の進展は不断の
後退であって、特に道徳的方面で堕落に向かうものと見なされているのである。 この....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
に移り、その右翼はパリにも達せず、敵のパリ方面よりする反撃に遇うともろくも敗れて
後退のやむなきに至り、遂に持久戦争となりました。この点についてモルトケ大将は、大....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
々と統制主義に前進したに反し、イタリアもドイツも日本も、遺憾ながら逆に專制主義に
後退し、一部のものの獨裁に陷つた。眞のデモクラシーを呼號するソ連さえ、自由から統....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
杖を径に突立て突立て、辿々しく下闇を蠢いて下りて、城の方へ去るかと思えば、のろく
後退をしながら、茶店に向って、吻と、立直って一息|吐く。 紫玉の眉の顰む時、五....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
立留ったり、考えたり、庭前、垣根、格子の中。 「はてな。」 屋の棟を仰いだり、
後退りをまたしてみたり。 「確に……」 歩行出して、 「いや、待てよ……」 ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
誰も居ないで寂として、釜の湯がチンチン、途切れてはチンという。 手持不沙汰に、
後退にヒョイと立って、ぼんやりとして襖がくれ、 「御免なさいまし。」と女中、立消....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
頸を擦着け擦着け、 (お助け下さい、お助け!)…… と頭で尺取って、じりじりと
後退り、――どうやらちっと、緊めつけられた手足の筋の弛んだ処で、馬場の外れへ俵転....
「多神教」より 著者:泉鏡花
に牙白く、思わず神職を凝視す。) 神職 (魔を切るが如く、太刀を振ひらめかしつつ
後退る)したたかな邪気じゃ、古今の悪気じゃ、激い汚濁じゃ、禍じゃ。(忽ち心づきて....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、その瓜実顔を少く傾けて、陽炎を透かして、峰の松を仰いでいた。 謹三は、ハッと
後退りに退った。――杉垣の破目へ引込むのに、かさかさと帯の鳴るのが浅間しかったの....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
れたもののよう目に留まった。 愛吉の間の悪さ、思わず顔を赧らめながら、もじもじ
後退になり、腰をかけて待合している、患者か、はた供のものか、円髷の婦人の次なる椅....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
いた、唐桟柄の羽織で、黒い前垂をした、ぶくりとした男が、舞台で目を白くする絶句に
後退りをしながら振返ったのが、私に気がつくと、そのまま……熟と視た。 開演中で....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
津吉を打撞ったように見ると、眉はきりりとしたが優しい目を、驚いた様に※りながら、
後退りになって隠れたが。 しばらくすると、そっと、うしろから、わざと足数を拾っ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
戦によって敵を打撃する方法の外、或いは機動ないし小戦に依って敵の後方を攪乱し敵を
後退せしめて土地を占領する方法を用いるのである。すなわち会戦を主とするか、機動を....